
経済産業省は、企業等が女性の健康課題への対応として、フェムテック導入を検討する際に参考となる手引きを案内しています。
女性の健康課題への対応策のひとつとして、今回はフェムテックを活用する際のポイントや事例を紹介したいと思います。
フェムテックとは
フェムテック(FemTech)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉で、女性特有の健康課題をテクノロジーで支援する製品・サービスを指します。
近年は国内外で市場が急拡大しており、企業の福利厚生や自治体の住民サービスとして導入されるケースも増えています。
フェムテックが注目される背景には、女性の健康課題が働き方や生活の質に大きく影響するという現実があります。
これまで個人の努力に委ねられがちだった課題を、社会全体で支える仕組みへと転換する動きが進んでいます。
経済産業省が2026年5月に公表した「フェムテック導入ガイダンス」は、こうした流れを後押しする実践的な指針となっています。

出所:経済産業省「フェムテック|新しい当たり前をつくり女性が働きやすい社会を」
なぜ今、フェムテック導入が急増しているのか
その背景には、「目に見えない損失の可視化」と「国の強力なサポート」があります。
これまで個人が我慢しがちだった月経や更年期などの健康課題ですが、経済産業省の発表によって社会全体の労働損失が年間約3.4兆円に上ることが判明し、大きなニュースとなりました。
この莫大な経済損失を解決すべく、政府は補助金を交付してフェムテック製品やサービスの導入効果を検証する動きを全面的に支援しています。
国を挙げたバックアップが呼び水となり、今、多くの企業でフェムテックの導入が急増しているのです。
また、フェムテックとフェムケアについて違いをご存知でしょうか?
どちらも女性の健康を支える大切な領域ですが、実は役割が少しずつ異なります。
フェムテック:テクノロジーで女性の健康課題を解決する(生理管理アプリや妊娠・不妊治療サポート等)
フェムケア:女性の体と健康をケアする商品・サービス全般
フェムテックサポートサービスの利用により、サービス利用前と利用後ではプレゼンティーズムが改善されていることが分かります。
導入に向けた検討・ポイント
フェムテック製品・サービスを福利厚生等の一環として導入するにあたっては、「課題の認識」から始まり、「試験導入・評価」に至るまでの複数のステップを段階的に進めていくことが重要です。
これらのステップを順に実践することで、自社の課題や組織特性に合った形で、無理なく導入を進めることが可能となります。
各組織の状況により、その進め方は大きく異なります。
また、各ステップは1回きりで終えるものではなく、検討の過程で前のステップに適宜戻り、繰り返しながら導入を進めることが重要です。
経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業」の注意点
現在フェムテック企業(製品・サービスを提供する企業)と導入企業(製品・サービスを導入する企業)、自治体、医療機関などが連携しています。
女性特有の健康課題やライフイベントと仕事の両立、ヘルスリテラシー向上等の個人のウェルビーイング実現 に向けた実証事業に係る費用の一部を補助するものとして実施しており、2021~2025年度に計79の事業を実施しています。
対象者
フェムテック企業、導入企業、医療機関、自治体等による連携体 または連携体を構成する事業者(単体または複数を問わない)
補助内容
・大企業:事業費の1/2以内[上限800万円] 、
・中小企業など:事業費の2/3以内[上限1,000万円
注意点としてはフェムケア製品(サプリ、アロマ、吸水ショーツ、エステ)など製品単体のみの提供は対象外となりサービス(アプリ、支援プログラム、医療連携、データ活用など)が必須となります。
フェムテックの導入に向けて
フェムテックの導入は、働く女性が妊娠や出産、更年期などのライフイベントと仕事を両立し、女性特有の健康課題に適切に対応できる環境を整えるだけでなく、組織全体の生産性向上や人材定着に直結する重要な取り組みです。
まだまだ導入する企業はそこまで多くないですが、先行して取り組むことで職場環境の質を高め、優秀な人材の確保や企業価値の向上につながる可能性は大きく、重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。
<参考>
・経済産業省「フェムテック|新しい当たり前をつくり女性が働きやすい社会を」
・経済産業省「企業・自治体等向け女性の健康課題の解決に向けたフェムテック導入ガイダンス」
・経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」

























