「第3回 生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」概要
2024年10月11日、公益財団法人日本生産性本部が、第3回「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」の結果を公表しました。
本調査は、従業員数が300人以上の組織に勤務する従業員を対象に実施されたものです。
対象者の内訳は、社長や会長、取締役、執行役員等をはじめとする経営層が745名、部長や課長などの管理職が1,100名、非管理職が1,100名です。
今回は、本調査結果をわかりやすく解説します。
生産性に対する考え方
まずは、労働生産性に関する感じ方についてまとめていきます。
設問「時間当たり労働生産性は、最新のデータではG7で最下位、OECD加盟38カ国中30位にまで落ち込んでいます。このような状況について、あなたはどのようにお考えですか? 」に対し、「かなり危機感がある」「やや危機感がある」とネガティブな回答をした割合は、非管理職63.6%対し、経営層76.6%と役職上がるにつれ労働生産性において危機意識を持っている結果になりました。
一方で設問「近年、貴社(自社)の労働生産性は上がっていると思いますか?」に対しては、経営層は4割以上が「上がった・やや上がった」とポジティブな回答をしたのに対し、非管理職は17.2%にとどまりました。
いずれの役職においても、自社の生産性は「変わらない」と回答をした人が最も多いことから、日本全体の生産性低下には危機感を覚えつつも自社の生産性は低下していないと考える人が多いことがわかります。
労働生産性を上げるには
また、労働生産性の話題になると、「ではどうしたら労働生産性が上がるのか」「労働生産性を下げているのは何なのか」ということが議題に上がりがちです。
本調査にも設問「日本の労働生産性が低い原因のうち、働き方と業務プロセスについてはどのような問題が大きいと思いますか?」を設け、労働者が感じる原因について集計をしています。
結果、「無駄な作業・業務が多い」や「デジタル化の遅れ」を指摘する回答が目立ちました。
特に役職別でみると、経営層にくらべ非管理職は無駄な業務が多いと感じている割合が15%程度高く、実際に業務を行う現場と経営層での業務効率化の問題意識のギャップがうかがえます。
労働生産性を上げるためには、人間個人の能力を伸ばすだけではなく、適切なタイミング・シチュエーションで業務のDX化が求められる時代になっているのかもしれません。
生成AIを使った働き方の変化
昨今では生成AIを使った業務効率化についても、労働者の関心が寄せられるところです。
実際に筆者も日常業務の中でメールの書き方に困った際には、生成AIにどんな返信をしたらいいか投げかけることもあります。
設問「あなたは、生成AIが普及することで自分の働き方がどのように変わるとお考えですか?」に対する回答は、全役職で「無駄な作業・業務が減り、ワークライフバランスが改善する」が最多でした。
しかし役職ごとの回答内訳を詳しく見てみると、生成AIの活用に対し、非管理職は「あまり影響を受けることはない」「わからない」との回答も多く、ここでも経営層と現場間でのギャップが見受けられます。
非管理職においては、業務の中に生成AIを組み込めるほどの裁量権がないなどの課題があるのかもしれません。
本調査をまとめると、労働生産性については企業内での役職によって傾向が異なることがわかりました。
役職は年代や年齢と比例することも多いため、年代間においても労働生産性においての考え方のギャップがあるともいえるでしょう。
<参考>
公益財団法人日本生産性本部「第3回 生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」