- Home
- ドクタートラストニュース
- 仕事と介護の両立のために「今から」できること
仕事と介護の両立のために「今から」できること
- 2022/10/25
- ドクタートラストニュース
「産業保健新聞」運営元、ドクタートラストで営業を担当している小島です。
私はドクタートラストに入社する前に、約10年間にわたり福祉業界で仕事をしていました。
介護が必要な方にサービスの紹介をするケアマネジャー資格も持っています。
皆さまご存じのとおり、日本は65歳以上の方が21%を超える超高齢社会で今後さらに高齢化が進んでいく予想です。
高齢化が進むなかで、誰にでも直面の可能性がある問題は、家族などの介護が必要な状況となったときに「仕事と介護の両立ができるか」です。
福祉業界で勤務していた時には仕事をしながら介護もされている方々から、以下のようなお話しを数多く伺ってきました。
・ 介護が必要なので仕事を休まなければならない
・ プライベートな時間が取れない
・ 身体的につらい、眠る時間がない
実際に2021年度に厚生労働省が行った調査では、介護のために離職された方約1,000名のうち約4割が「仕事を続けたかったが、勤務先の両立支援制度の問題や介護休業等を取得しづらい雰囲気等」と回答しています。
30代後半から40代にかけて、両親が65歳以上となる頃に介護が必要となる可能性は誰もが持っています。
介護に関する諸制度と支援策
前述のとおり、各種制度について取得しづらい雰囲気が企業によってはあるようですが、まずは、どのような制度があるのか把握しておくことは重要です。
介護にかかわらず、男性の育休取得など、時代の移り変わりに伴い、働き方についても見直され、取得しやすい環境を整えている企業が増えています。
<介護を取り巻く法制度>
1. 介護休業:介護の始期、終期、その間にそれぞれ対応するという観点から、対象家族1人につき通算93日まで3回を上限として、介護休業の分割取得を可能とする
2. 介護休暇:年5日を半日(所定労働時間の1/2)単位の取得を可能とする
※2021年1月1日施行改正法にて、中抜けなしの時間単位取得が可能になる
3. 介護のための所定外労働の免除:介護終了までの期間について何回でも請求(取得)可能(1回の取得単位は1か月以上1年以内)
4. 介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務):介護休業とは別に、利用開始から3年間で2回の利用が可能
事業主は以下のうちいずれかの措置を選択して講じなければならない
① 所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
② フレックスタイム制度
③ 始業・就業自国の繰り上げ・繰り下げ
④ 労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度
5. 介護休業給付の給付率の引上げ:67%に引き上げ(2016年8月1日施行)
6. 介護休業等を取得したこと等を理由として解雇その他の不利益取扱いをすることを禁止
7. 上司・同僚等からの介護休業等に関するハラスメントの防止措置を講ずることの義務づけ
仕事と介護を両立するために
先の厚生労働省の調査でも、介護離職防止や仕事と介護の両立支援に会社として取り組む必要性を感じている割合は、全体で「必要性を感じている」が33.8% 、「必要性をやや感じている」が37.5%となっており、合わせて71.3%の企業が取り組みの必要性を感じているとされています。
各企業で利用できる制度がありつつも、やはり介護をすることで時間的な制限や体への負荷というのは出てきてしまいます。
このような状況を改善するためにも会社の制度を利用しつつも介護保険制度をしっかりと利用することが重要です。
上図のとおり、まだまだ介護保険サービスを利用していない状況があります。
もちろん地域によっては利用できる資源がないという場合もありますが、最近では多種多様なサービスが利用者のニーズに合わせて生まれています。
「すべて」とまではいかないまでも、少しでも負担を軽くできるサービスが見つかるはずです。
<介護保険で主に受けることができるサービス>
・ 介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
・ 自宅で受けられる家事援助等のサービス
・ 施設などに出かけて日帰りで行うサービス
・ 施設などで生活(宿泊)しながら、長期間または短期間受けられるサービス
・ 訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
・ 福祉用具の利用にかかるサービス
参照:厚生労働省「公表されている介護サービスについて」
これからのために
私自身も30代後半に差し掛かり、両親は70代となりました。
介護の問題はいつやってくるかわかりませんが、必要な知識をもって、企業の制度、介護保険制度を利用することで、「自分のやりたい仕事」から離れる必要はなくなるかもしれません。
今から介護問題について十分に話し合い、必要な時が来た時にはすぐに動けるように準備しておくことが重要です。
<参考>
厚生労働省「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」