労災にも新型コロナの影響あり!令和2年度の発生状況
- 2021/8/19
- 労災
労働災害の発生状況
厚生労働省が「令和2年の労働災害発生状況」を公表しました。
労働災害による死亡者数は802人と3年連続で過去最少だった一方で、反対に休業4日以上の死傷者数は131,156人と平成14年以降で最多でした。
今回は業種ごとでの相違も含め、令和2年の労働災害発生状況を詳しく解説します。
業種別の労働災害発生状況
令和2年は、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設および飲食店で労働災害件数が増加しました。
① 社会福祉施設
社会福祉施設は令和元年と令和2年とを比較すると3,222人、率にして32.1%の増加でした。
この背景には、転倒や動作の反動・無理な動作による増加に加え、新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害が1,600人発生していることがあります。
② 小売業
小売業は転倒が最も発生が多く、年代別で見ると60歳以上が多く、全体の33.1%を占めていました。
小売業の転倒災害防止対策として厚生労働省から下記の通り対策方法が示されています。
整理整頓をしたうえで、危険を全員に周知し、どのようなことが危険因子となるのか把握しておくことが重要です。
③ 陸上貨物運送事業
陸上貨物輸送事業では、新型コロナウイルス感染症に起因する外出自粛等の影響で宅配便取扱個数が大幅に増加したことが、荷役作業中等の「墜落・転落」や交通事故が発生件数の増加につながっています。
厚生労働省ては安全対策として「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」を作成し、周知、指導を行うように示しています。
④ 飲食店
新型コロナウイルス感染症による営業制限等影響に伴い、令和2年の飲食店雇用者数は前年比 7.2%減となっているなか、労働災害は増加しています。
件数で一番多いのは「転倒」です。
特徴的な内容は「切れ・こすれ」の死傷者が30歳未満で約半数の51.5%を占めている点です。
年代別の労働災害発生状況
続いて、年代別労働災害の特徴に触れます。
年代別労働災害発生件数で一番多いのは、60歳以上で。全体の4分の1を占めています。
令和2年には新型コロナウイルス感染症り患の影響もあります。
人材確保のためにも高齢者雇用が非常に注目されておりますが、労働災害については高齢者で最も多く発生しており、場合によっては貴重な戦力を失うことにもつながります。
厚生労働省「高齢者の安全確保のためのガイドライン」などを参考にしながら、安全対策等の取り決めを行い、周知、徹底させるていきましょう。
また、「エイジアクション100」のように、高年齢労働者の安全と健康の確保のための100の取り組みを盛り込んだチェックリストもあります。
あわせて活用し職場の課題を確認してください。
今後の対応
労働災害は、従業員個人の意識はもちろんですが、企業としても安全に働けるような環境をつくることが求められています。
労働災害は、当事者が働けなくなるだけではなく会社の生産性低下にもつながります。
ぜひ安全に働ける環境をつくりましょう!
<参考>
厚生労働省「令和2年の労働災害発生状況」