毎年、10月1~30日は乳がん啓発月間です。
乳がんは女性の罹患数としては第1位で、9人に1人はかかるといわれている「身近ながん」の一つです。
乳がんの罹患者は仕事のほか、結婚、子育てなどオンもオフも多忙となる40歳以上から増加します。
なお、AYA世代(Adolescent and Young Adult、15歳から30歳代までの世代)の30代では乳がんが罹患数の第1位を占めています。
ただし、死亡数は第5位なので、初期の内に発見することで治る可能性が高く、仕事の両立が可能ながんです。
今回は、乳がんのリスク要因や予防、乳がんの予防のために会社ができることについて、保健師がわかりやすく説明していきます。
乳がんのリスク要因について
乳がんのリスク要因について以下のものが考えられています。
<乳がんのリスク要因>
・ 肥満
・ 糖尿病
・ 喫煙、受動喫煙
・ アルコール摂取
・ 出産経験や授乳経験のない人
・ 家族(親、子、姉妹)に乳がんに罹った方がいること
肥満や糖尿病の方は、がんの予防の観点からも生活習慣を整えるように意識しましょう。
喫煙中の方も、やはり健康のためを考えると禁煙に取り組んでいただくことをお勧めします。
また、乳がんの5~10%は遺伝性といわれていますが、ほとんどの方は生活や環境などが主要な要因になっています。
乳がんの予防は?
予防方法は現在のところ確立してはいません。
しかしながら、上記に述べた生活習慣を整えることが予防につながります。
また、国では40歳以上の女性の方は2年に1回がん検診を受診することが推奨されています。
市町村の検診では2年に1度クーポン券が配布されますし、職場によっては人間ドックでの受診で助成を受けられるところもあるかと思います。
ほかにも、乳がんは「自分で触れることができるがん」です。
セルフチェックを月に1回、月経後1週間以内を目安に行うようにしましょう。
面倒に感じる方でも、月に1回は入浴後に胸の形の変化やくぼみがないか、胸のしこりがないかなどの確認してみてください。
そして、「おかしいな」と感じたときには受診を検討してくださいね。
月に1回のセルフチェックとがん検診を受診し、がんの早期発見に努めていきましょう
セルフチェックについては過去の記事も参考にしてみてください。
予防のために企業ができること
乳がんをはじめとする、がんへの対策について会社では何かされていますか?
健康診断のオプションの検査として、がん検診を費用負担している会社も多いのではないでしょうか。
また、健康教育の一環として女性の健康についてセミナーを実施し、健康通信を共有するなど情報提供を行うことも企業としてできることの一つです。
なお、がんに罹った人への対応はいかがですか?
がんの治療は体力だけでなく、精神面でも負担となります。
治療や病気の経過は人それぞれではありますが、「仕事と両立できる職場であること」は大切です。
休職や復職の規定の準備や、検査や治療のために休みやすい風土を作るように心がけてください。
厚生労働省が公開してい以下のPDF資料が参考になります!
「令和3年3月改訂版 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」
今月の「乳がん啓発月間」を機会に乳がんに対する理解を深めてみる機会にしましょう!
<参考>
・ 国立がん研究センター「がん情報サービス」
・ 日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版」