2019年12月以降、世界中で感染者が拡大している、新型コロナウイルス。
日々の報道で感染者数の増加や、学校の臨時休業、大型イベントの自粛が報じられ、「企業としてどのような対策をとっていく必要があるのか」など、雲をつかむ思いで不明点が多いのが現実かと思います。
今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止に備えて、企業対策Q&Aを作成しました。
※ 掲載内容は本稿執筆時点の情報によるものです。
① なかなか消毒用品が手に入らないときは
【Question】
「新型コロナウイルス対策で、手指用のアルコールは購入したがドアノブ等の拭き取り用が入手できません。その中で拭き取り消毒をしたほうがいいのか、しないほうがいいのか、また頻度はどのくらいが良いでしょうか」
【Answer】
現在、アルコール類の購入が困難な状況かと思います。
ふき取り用のアルコール消毒の購入が難しい場合は、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。
次亜塩素酸ナトリウムとは、一般的に「塩素系漂白剤」と呼ばれているものです。
次亜塩素酸ナトリウム薄めて、手が荒れてしまう可能性があるので、直接触れないようペーパータオルなどに十分に含ませて拭いたのちに、水拭きをします。
製品に記載されている濃度を元に、用途に応じて薄めてご使用ください。
引用:消毒用アルコールがない場合の消毒・除菌について(福岡市)
スプレーボトルでの薬液の噴霧は、実はウイルス飛散の可能性があるので、お勧めできません。
また、頻度につきましては、ひとが触れるたびにというのは難しいと思います。
手指消毒は社員各自で徹底して実施していただくという前提で、物品類の消毒は、できれば1時間に1度程度の頻度で消毒の実施が良いとされています。
② テレワークや在宅勤務には踏み出せないときは
【Question】
「政府がテレワークや在宅勤務を推奨していますが、テレワークの実施には踏み出せない業務内容です。どのように対応すればいいですか?」
【Answer】
感染リスク、かつ感染後の業務停滞を少しでも防ぐような対策する必要があります。
フレックスタイムや時差出勤等は既に、こちらで紹介されています。
今回は、そのほかの方法をいくつかご紹介いたします。
1. スプリットチーム制(班交代制)
感染者が仮に社内で発生した場合に、業務が停滞しないように、スプリットチーム制の導入による同じ場所での勤務者数の削減する方法です。
スプリットチーム制とは、各部や課を2チームに編成し交代勤務とする勤務体制です。
感染者が発生した時に、業務従事者全員が濃厚接触者とならないように、チームを分けて別日、別拠点で勤務することにより、同時期の感染防止も有効となります。
2. 社員同士の濃厚接触を極力避け、定期的な換気を
新型コロナウイルスのこれまでに判明している感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染と接触感染と言われています。
現状では、空気感染は起きていないと考えられていますが、閉鎖した空間・近距離での多人数の会話等には注意が必要です。
感染者と濃厚接触かどうかを判断する大切な要素は距離の近さと時間の長さです。
対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離で2メートル程度)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境は感染を拡大させるリスクが高いとされています。
厚労省ウェブサイトでは、上記のように記載されていますので、濃厚接触を避けるため以下を見直してみましょう。
◎座席の見直し:デスクの間隔をあける、フリーレイアウトにする
◎ミーティングの方法の見直し:会議室でのミーティングをできるだけ避ける、電話やチャット等を使いウェブ会議へ切り替える
また、厚生労働省はは3月1日、新型コロナウイルスの集団感染を防ぐためのポイントを発表した際に、集団感染の発生場所のひとつとして「密閉空間であり換気が悪い」と発表しています。
そのため、社内では換気扇を回したり、日中は2,3時間ごとに窓を開けたりしましょう。密閉した環境で業務をする……のではなく、窓やドアをあけて、空気の流れを作るようにしましょう。
③ 感染者が発生したときは
【Question】
「もし、社員に感染者が出た時は、どのような対応をしたらいいですか?」
【Answer】
万が一、社員などのオフィス勤務者の中から感染者が発生した場合、社内での感染を拡大させない対応が必要となります。
1. 感染者本人(従業員)に対して
まず、感染者本人へは、医師の許可が下りるまでは、自宅待機を命じましょう。
感染者本人の机や、接触していたと思われる場所の消毒を行ってください。
また、感染者本人へ行動範囲等を保健所が聴取し、企業に対しても保健所が関与してくることとなりますので、その際には保健所の指示に従ってください。
2. 社内対応
現在、企業から保健所へ届出をしなければならないといった義務はありません。※
届出等の報告義務はありませんが、発症後の対応について相談等あれば保健所に連絡してください。
社内で感染を拡大させないためにも、社内で感染者が発生した事実は、社内に周知しましょう。
その上で、手洗い・うがい、マスクの着用などの感染対策方法を社内全体への周知を徹底する必要があります。
しかし、他社員に対して過度に不安を煽らないよう、感染者の名前や発覚した日などについては最小限の記載としたほうが望ましいです。
また、産業医との連携もしましょう。
企業としては、社員の安全配慮義務の観点から、産業医から医学的な情報提供や意見を求めるなど専門的な支援を仰ぐことが重要となります。
新型コロナウイルスに関して産業医との情報共有を十分に行うことで社員それぞれの感染予防対策への意識を高めることが、社員同士の協力体制の構築につながります。
ぜひこれを機に、会社全体でこの危機を乗り越えていきましょう。
※食品産業事業者の方などには農林水産省から別途保健所への報告を行ない、指示に従うよう要請が出されています。
(参考:新型コロナウイルス対策に関する農林水産省対策本部より)