最悪の場合、死亡事故につながってしまうこともある労災は、企業が対策をしなければなりません。
多くの企業が既になにかしらの労災対策をされていると思いますが、昨今注目されているAIなどの最新技術を労災対策に活用している企業があります。
今回は、最新技術を活用し労災対策をしている企業の事例を紹介します。
令和2年は12月までで102,846人の労災
厚生労働省の発表によると、令和2年の労災により仕事を4日以上休まなければならなくなった死傷者数は、102,846人となりました。
軽度の者から死亡事故まで含まれた数ですが、年間10万人以上の方が労災に巻き込まれていると思うと驚きです。
業種別で見ると、製造業で20,951人、建設業で12,352人、陸上貨物運送事業で12,990人、第三次産業で20,240人の労災が発生しています。
時には大きな事故につながることもある労働災害を、少しでも減らすためには、常に最新の情報や技術をとりいれていく企業の努力が必要不可欠です。
AIが危険の行動を認識して防ぐ
JFEスチール株式会社では、進入禁止エリアへの侵入防止や巻き込まれ事故防止にAIを活用しています。
近年、センサーによって侵入防止等を対策していましたが、センサーは固定の範囲のみで検知可能であったために、製品などの条件によって進入禁止エリアなどが都度変わる工場などでは適用が困難でした。
そこで、AIによる画像認識技術で進入禁止エリアが変化する工場内でエリアと人物を正しく認識し、侵入時には警報を発し、機械を止めるシステムを導入しました。
AIの導入により、経験の少ない若手社員にも対応し、見逃すリスクのある人の目よりも安全に働ける職場づくりを実現させています。
VR危険体感キットを安全教育に使用
三菱電機ビルテクノサービス株式会社では、基本事項やルール遵守によって危険な行為を抑制していれば災害を防ぐことができた事例がいくつも確認されていました。
そのため、社内イントラを活用し、実際に事故につながった事例をCG動画化し、安全意識を向上させる訓練を実施してきました。
加えて、VRを使用した危険体感キットを全国の支社に配置し、安全教育に活用しています。
経験は豊富だが、進化する最新技術に対応できていないシニアスタッフや、作業員に比べて安全意識が不足している設計スタッフなど、さまざまなスタッフにCG動画やVR危険体感キットを使用した安全教育を行い、労働災害防止に努めています。
最新技術を使用することで、多様に変化する職場環境や従業員にも対応した労働災害対策を行っている企業がすでに多くあります。
今後、日本の労働災害対策のレベルが最新技術によって上がることを期待します。
<参考>
・ 厚生労働省「労働災害発生状況」
・ 日本経済団体経団連「最新技術を活用した労災防止対策事例集」