「喫煙環境に関する実態調査」の結果が発表されました~公共施設や飲食店などでの禁煙状況はどうなった?~

昨今、「敷地内全面禁煙」の動きが広がっています。
これは受動喫煙による健康影響の対策として、2018年7月に「健康増進法の一部を改正する法律」(以下「改正法」)が成立、2019年7月に一部施行されたことにより、まず、学校や病院などの子どもや患者が主たる利用者となる施設が敷地内禁煙となったこと、さらに2020年4月の全面施行により、利用者が多い施設では原則屋内禁煙となったことが影響しています。
2024年5月には、厚生労働省が2022年度の状況をまとめた「令和4年度喫煙環境に関する実態調査」(以下、喫煙環境実態調査)を公表しています。
今回は実態調査の結果をご紹介します。

喫煙環境実態調査の概要

調査は郵送およびオンラインで行われ、第一種施設と第二種施設を対象に実施されました。

第一種施設
・ 学校
・ 医療施設
・ 児童福祉施設
・ 行政機関 など
第二種施設
・ 一般施設・事業所
・ 飲食店
・ 不動産管理事業者
・ 鉄道・バス事業者
・ 旅客船・旅客船ターミナル

調査対象施設は20,490件で、有効回答数は9,322件でした。

喫煙環境実態調査の結果

喫煙環境実態調査によると第一種施設(学校、医療施設、児童福祉施設、行政機関など)では、敷地内全面禁煙の割合が86.3%と高く、特に病院においては100%が敷地内全面禁煙を実施していました。
一方、敷地内全面禁煙を実施していない施設のうち、特定屋外喫煙場所を設置している割合は61.7%でした。
これにより、第一種施設においてはほとんどの場所で受動喫煙のリスクが低減されていることがわかります。
敷地内全面禁煙を実施している第一種施設の割合は、学校や医療施設、児童福祉施設などでは90%を超えており、特定屋外喫煙場所の設置率も高いです。
一方、大学や短期大学などの高等教育機関では、敷地内全面禁煙の実施率が67.3%と低く、今後の改善が求められます。

第二種施設(一般施設・事業所、飲食店、不動産管理事業者、鉄道・バス事業者、旅客船・旅客船ターミナル)では、屋内全面禁煙の割合が74.1%でしたが、喫煙専用室を設置している施設は9.7%にとどまりました。
特に、パチンコホールやバー、キャバレー、ナイトクラブといった施設では、屋内全面禁煙の割合が低く、受動喫煙のリスクが依然として残っていることが示されています。

経年比較、今後の課題、および結論

経年比較

また、2022年度と2021年度のを令和4年度の喫煙環境実態調査結果を比較すると、敷地内全面禁煙の実施率が増加していることが確認されました。特に、第一種施設においては禁煙環境の整備が進んでいることがわかります。

第一種施設における敷地内全面禁煙の割合(%)

2021年度2022年度
幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、高等学校、中等教 育学校、特別支援学校95.591
専修学校、各種学校、職業・教育支援施設82.483.3
大学院を除く高等教育機関(大学、短期大学)65.867.3
児童福祉施設(保育所等)90.990
行政機関66.961.3

さいごに

喫煙環境実態調査は、改正健康増進法の施行後の喫煙環境の現状を把握し、受動喫煙防止策の効果を確認するための貴重なデータを提供しています。
第一種施設においては、喫煙環境の整備が進んでいる一方で、第二種施設における受動喫煙防止策にはまだ改善の余地があることが明らかとなりました。
今後も引き続き、喫煙環境の改善と受動喫煙防止策の強化が求められます。

<参考資料>
厚生労働省「令和4年度喫煙環境に関する実態調査の概況」

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小池 大木株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

就職活動で幅広い業界を調べていくなかで、残業時間やストレスの感じ方が業界によってさまざまだとわかったと同時に、健康的に働きたいという思いを持つようになりました。
私自身も健康に気を付けながら、健康に働く重要性を発信していこうと思います。
【保有資格】健康経営アドバイザー

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