HIV、エイズは30年前に流行した病気で「自分には関係がない」と思っていませんか?
実は、現在もHIV感染者とエイズ患者は年間1,000人以上増えている状況です!(※2019年1年間の新規報告者数は1,236件)
新規報告者数は2013年をピークに減少傾向ではありますが、累積報告件数は3万件を超えています。
HIV陽性者は20~40代の男性が多いですが、もちろん多くの方は就労しています。
今回は、HIVとエイズについての基本的な情報と、自分がHIV陽性になったら、HIV陽性者と働くときに注意することについて、わかりやすく解説していきます。
どんな病気?HIVとエイズの違いって知ってる?
まず、HIVとエイズの違いをご存じですか?
【 HIV 】
ヒト免疫不全ウイルスのこと
【 エイズ 】
後天性免疫不全症候群のこと。HIV感染により免疫力が低下し、肺炎等の症状が現れること。
つまり、HIVはウイルスの名前、エイズは病気の名前です。
HIVに感染すると、数年から10数年くらい免疫力が低下してしまい、通常ではほとんど病気につながらない病原体によって引き起こされる感染症を発症した時点でエイズと診断されます。
近年では数年でエイズ発症の報告もあり、早期発見、早期治療が大切になっています。
感染経路は性行為や母子感染、注射針の可能性のある場合です。
検査は全国の保健所などで、たった5ml の採血で行うことができます。
保健所では料金は無料、匿名で受けられますし、検査機関によっては他の性感染症と一緒に受けることも可能です。
もし自分がHIVになったら?
医療は日々発達しているので、現在HIVは毎日薬を飲むことでウイルスの増殖を抑え、コントロールができる病気です。
HIV陽性者でも、健康な人とほとんど変わらず生活を送ることができます。
毎日の薬代、定期的な通院が必要なので医療費の心配をされるかと思いますが、HIV陽性者は免疫機能の程度に応じて障害者手帳を申請することができます。
障害者手帳を交付されると医療費助成制度や各種サービスの利用が可能なので、医療費の自己負担は0~2万円になります。
また、障害者認定を受けることで障害者雇用枠として採用・就職しているHIV陽性者も増えています。
HIV陽性者と働くときに大切な4つのポイント
1.正確な知識をもつ
HIVの感染力は非常に弱いため、職場で一緒に働いたり、同じ環境にいたりすることで感染することはありませんし、同じスプーンを使って食事をとり分けたり、もし怪我などでも血液が触れただけではHIVに感染することもありません。
現在はwebサイトも複数あるので、正確な新しい情報を得ることも可能です。
正しい知識をもち、偏見しないことが大切です。
2.特別扱いは必要ありません
HIV陽性者が働き続けるうえで必要なことは1~3か月に一度の通院と毎日の服薬です。
体調や薬の副作用など必要な配慮には個人差がありますが、本人から申し出がない限り、特別な配慮は必要ありません。
3.プライバシーには配慮する
職場での感染リスクはありませんので、HIV陽性であることは「不用意に収集すべきではない健康に関する機微な個人情報」です。
しかし、HIV陽性者の中には仕事上配慮してほしい点があり、周囲に知ってもらえることで安心して働ける人もいます。
他の病気と同様、それぞれ個人によって、どこまで話すかについて考え方が違います。
そのため、本人の意向を確認しながら、どの範囲まで共有するか、どう取り扱うかを決めていく必要があります。
もし、申し出があった場合はきちんと話していくことが大切です。
4.悩まずに外部の専門家に相談を行う
管理者や人事、労務担当の方のなかには「HIV陽性者本人のプライバシーを守りたいが初めての対応をどうしていいか分からない」とお困りの方もいらっしゃると思います。
エイズ専門の医療機関、NGOなどの機関に相談し、抱え込まないようにしましょう。
☆★そして!12月1日は「世界エイズデー」です!★☆
世界保健機構(WHO)はエイズ蔓延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を図ることを目的として、12月1日を“World AIDS Day”(世界エイズデー)と定めました。
日本でも毎年12月1日を中心にエイズに関する正しい知識などについて啓発活動を推進していて、全国各地でさまざまな「世界エイズデー」イベントが実施されています。
厚生労働省もイベントを毎年主催しています。
今年はコロナ感染症の影響もあり、オンラインでの中継になっています。
この記事を読んでHIV、エイズに関心を持った方、ぜひ参加してみてくださいね。
<イベント等概要>
世界エイズデーイベント RED RIBBON LIVE 2020 ~Go To検査!ちなみにハンコいりますか?
(1)日時
令和2年12月1日(火)20:00~22:00(予定)
(2)実施概要
・ アーティストやタレント、全国各地のラジオDJが、トークとライブにより、 幅広い世代の人々に予防啓発のメッセージをオンラインで発信
・イベント当日は、ウェビナー参加者として抽選で100名を無料招待
・オンラインでライブ配信あり。
・無料で視聴可能
詳細はこちら
<参考>
・ 東京都福祉保健局「職場とHIV/エイズハンドブック」
・ 東京都福祉保健局「職場とHIV/エイズハンドブック 人事・労務・障碍者雇用担当の皆様へ」
・ 厚生労働省エイズ動向委員会「令和元(2019)年エイズ発生動向-概要-」
・ エイズ予防情報ネット API-Net