ストレスに打ち勝つ人の共通点とは
- 2017/6/7
- メンタルヘルス
同じ事柄でもそれをストレスに感じる人とそうでない人がいます。
ストレスに強い人と弱い人がいるというのは、よく知られている事実です。
ストレス耐性は固定されたものではなく、考え方や、体調管理などで変動していくものであり、後天的に自分でつくりあげていくものと考えることができるでしょう。
そうなると、自分のストレス耐性はいかほどのものなのか、気になるところですよね。
ストレスに強い人の特徴や共通点はいろいろと挙げられますが、今日は一つのストレス耐性指標である、「首尾一貫感覚」(SOC:Sense of Coherence)についてわかりやすくご説明します。
ストレスに打ち勝ち、前向きに生き抜く人の共通点 ~SOC~
第二次世界大戦中、ユダヤ人強制収容所の収監から生き抜いた方々の多くは、あまり長生きできなかったと報告されています。
収監時の想像を絶するストレスを長期間受け続けたことによる影響という見方がありますが、実はその中でも良好な健康状態を保ち、余生を送った方もいたそうです。
医療社会学者のアーロン・アントノフスキーは、その人達の性格特性を研究し、共通の特徴を「SOC(首尾一貫感覚)」と名付け、次のように分類しました。
1)有意味感:辛いことも含めすべての物事に何らかの意味を見いだせる感覚
2)全体把握感:自分の置かれている状況を、先を見通しながら秩序だった明確な情報として受け止められる感覚
3)経験的処理感:どんなにつらいことに対しても、「なんとかなるはず」「自分は大丈夫」と思える感覚
つまり、これらが、「ストレスに打ち勝てる人の共通点」ということです。
1)有意味感は一言で表すと、”やるぞ”と思える感覚です。
日々の仕事などに、やりがいや意味を見出しているでしょうか。
特に仕事ではやりたい内容ばかりではないでしょう。
またさまざまな困難が降りかかってくることでしょう。
そんな場合にでも「これは必ず自分にとって意味があるのだ」と思えるかどうかです。
”やらされ感”は、自分自身にとっても、もちろん周りにとってもプラスを生まないということでしょう。
2)全体把握感は”わかる”という感覚です。
自分がおかれている状況がある程度つかめる、先を見通せるか、です。
たとえば仕事も、目の前の作業に追われるのではなく、全体を見通し、計画性をもつ。
また起きている事実を客観敵に捉え対処できるという感覚です。
3)経験的処理感は”できる”という感覚です。
なんとかなる、対処できるという、物事に対する処理可能感です。
自分で解決できないことは、できないと判断し、それでも周囲に助けなどを求めながらも、どうにかなる!なんとかできる!という感覚です。
ストレスがかかりやすい職場という場所では、自分自身が仕事において、意義や長期的スパンの視点を持ち、客観的に状況を把握した上で、楽観性というものを持つことが、心身の健康を保つための秘訣と言えるでしょう。
SOCの高い上司が、部下のSOCを高める
ご紹介してきたSOCは、環境によって高めていくことができます。
幼少期は特に家庭環境により育まれ、社会人においては、上司と部下の関係によって職場のSOCが高まるとされています。
部下のSOCを高める上司の働きかけとは、上司としては当たり前の声かけとフォローです。
それをSOCの3分類を意識して行うのです。
たとえば、有意味感を感じられていない部下に対しては、仕事への意味付けや「助かっている」「会社のためになっている」等を積極的声かけするのです。
受けるストレスの度合いや、それがいつまで続くかが分かっていない場合、必要以上に不安を感じ、ストレスになります。
そういった様子が見られる場合は、部下に長期的スパンに視点を移させ、今現在の立ち位置であったり、何かあった場合のフォロー体制について説明してあげることが、全体把握感向上に効果的でしょう。
そして、経験的処理感については、業務の中で、きちんと「達成感」を味わっていけるように設定を行うことです。
きちんと「君ならできる」「できたね」と言葉で伝えることが大切です。
周りと関わりながらストレス耐性を高めていく
ストレス耐性を高めることへの特効薬はありません。
一日一日、起こることをどのように捉えていくか……。
将来の健康は、今のあなたの捉え方次第と言えるかもしれません。
SOCは、育った環境や人生経験によって獲得していくものです。
社会的つながりが多い人ほど、SOCが高いという研究もありますので、一人でなんとかSOCを高めていくというよりは、人との関わりの中で高まっていくということが考えられます。
お互いのSOCを高め合える職場を目指したいものですね。