健康経営のカギを握る役職~注目を集めるのはCHO、CWO~
- 2019/6/22
- 健康経営
「健康経営」という言葉が世間に浸透してきた昨今、「健康経営宣言」を行う企業も増えてきましたね。
それにともなって、CHOやCWOという名称の役職を置く企業も出てきました。
まだ聞きなれない役職ですが、一体どんなことをする人なのでしょうか。
「健康経営」とは
健康経営とは、以下のように定義されています。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
<出所>経済産業省「健康経営の推進」
福利厚生という視点ではなく、経営方針のひとつとして社員の健康管理をしていく、ということですね。
個人任せにしていた健康管理を企業が行うことで、体調不良など健康問題による欠勤や休職・退職を予防する効果が期待できます。
また、社員が通院を重ねると医療費が増え、結果的に健康保険料も増えてしまいます。企業としてはコスト削減や健康志向を打ち出すことによる外部からの評価向上のためにも検討する価値のあるものだと言えるでしょう。
CHO、CWOとは
CHO、CWOはそれぞれ次の略称です。
CHO…Chief Health Officer(チーフ・ヘルス・オフィサー)
CWO…Chief Wellness Officer(チーフ・ウェルネス・オフィサー)
企業によって名称は異なりますが、どちらも「最高健康責任者」という意味です。
主に社員の健康を維持・増進する役割を担っています。
2014年にロート製薬株式会社がCHOを、2015年に日本交通株式会社、株式会社吉野家ホールディングス、株式会社リンクアンドモチベーションがCWOを設置したのを皮切りに、同様に設置する企業が増えてきています。
株式会社ビックカメラでは、社長をCWOに、人事部長と健康保険組合理事長をCWO補佐に任命しました。
さらに人事部内に「いきいき働く推進チーム」を新設し、スポーツコミュニティ室、安全衛生委員会の3つを健康経営推進体制とし、労働組合と健康保険組合と連携を図りながら社員とその家族の健康増進をはかっています。
ANAグループでは、ANAホールディングス役員をCWOに、グループ各社の実務担当者をWL(ウェルネスリーダー)に任命しました。
これは、社員・健康保険組合・会社が三位一体となって実践していくため、さらに社員の健康にかかわる状況を正確に把握した上で各種健康増進施策を進めていくための体制です。
ほかにも、株式会社ゲイトでは居酒屋、リラクセーション業界で初となるCWO設置、ヤフー株式会社ではCCO(チーフ・コンディショニング・オフィサー)という名称の役職を設置しました。
CCOは身体の健康だけではなく、「心の健康」もサポートする面を打ち出しています。
設置だけにとどまらず、現状に即した実践を
ただなんとなく「健康経営をするぞ」というだけではなく、きちんと役職を設置することで「真面目に取り組む意欲がある企業です!」というメッセージを外部に伝えることができます。
責任ある立場となるため設置は簡単ではないですが、今後の経営方針を検討するうえで、検討してみてはいかがでしょうか。
<参考>
・ 経済産業省「健康経営の推進」
・ ロート製薬株式会社「「チーフヘルスオフィサー(Chief Health Officer、最高健康責任者)」の設置に関するお知らせ」
・ 株式会社ゲイト「経営をもっとウェルネスに、健康経営を促進 ビジネスを通じ、スタッフと顧客の心と体の健康を追求 ~居酒屋・リラクセーション業界初、チーフウェルネスオフィサーの設置~(PDF)」
・ 株式会社ビックカメラ「ビックカメラ健康経営宣言」
・ ANAグループ「健康経営」
・ ヤフー株式会社「従業員の健康」