10人に1人と言われる産後うつ

マタニティブルーズと産後うつ

産後は身体的負担が大きく、また、赤ちゃんが泣き止まないなど、とても慌ただしい毎日となり「想像していたものと違う」とギャップに苦しむ方が多くいます。
今回は、最近よく聞く「マタニティブルーズ」と「産後うつ」について見ていきましょう。

◎マタニティブルーズ

マタニティブルーズとは、産後3日目くらいからはじまり10日ほどすれば落ち着くものをいいます。
症状としては、気分の揺れ、不安、涙もろくなる、食欲不振などの心の状態で、ホルモンの急激な変化によって起こります。
発症率は15~30%といわれており、高確率でかかります。
しかし、多くの場合は10日ほどで落ち着き、治療は必要としません。

◎産後うつ

産後うつとは、産後ひどく憂鬱な気分になり、何に対しても興味や喜びを感じないような状態が2週間以上続く状態をいいます。
産後2~3週から6か月くらいの頃に発症することが多いですが、産後1年以内であればいつでも起こる可能性があります。
発症率は10~15%で、「赤ちゃんをかわいいと思えない」「母親失格だと思う」「家事や育児をする気がまったくおきない」等の症状がみられることが多いです。
また、産後うつはマタニティブルーズと違い、治療を必要とします。

産後うつになりやすい人の傾向

産後うつになりやすい人の傾向としては、以下が挙げられます。

・切迫流早産であるなど、難産など出産が順調にいかなかった
・完璧主義
・妊娠期間中や出産直後に転勤や人事異動、職場復帰などの人生の大きな転機があった
・妊娠中仕事のストレスが増した
・望まない妊娠であった
・協力者がいない

以上のように、産後うつには、妊娠中からの環境が大いに影響することが分かります。
見方をかえれば、産後うつは周囲のサポートがあれば予防・軽減・改善できるものなのです。

赤ちゃんが泣き止まない時

産後の悩みで多いのが「赤ちゃんが泣き止まない」ということです。
赤ちゃんは生後1~2か月に泣きのピークがあるとされています。
その時の泣きは何をやっても泣き止まないことが多いです。
赤ちゃんが泣いたら、以下の①、②の手順で行ってください。

① 赤ちゃんが欲しがっていると思うものを確かめる
(抱っこ、おむつを替える、母乳・ミルクをあげるなど)
② 赤ちゃんがママのお腹の中にいた状態を作ってあげる
・おくるみで包んであげる
・「シー」という音を聞かせる(実際に声に出して「シー」と言う)
・ビニール袋をクシャクシャさせる
・ドライブに行くなど、心地よい振動をあたえる

どうしても赤ちゃんが泣き止まない…!

上記①、②の手順で進めても、どうしても赤ちゃんが泣き止まないことがあると思います。
問題はありません。
そんなときは以下を試してみてください。
・赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、赤ちゃんから離れましょう。
・そして自分がリラックスしましょう。(温かいものを飲む、友人と電話をする等)
・少ししたら戻って赤ちゃんの様子を確認しましょう。
・協力者がいる場合は赤ちゃんのお世話を任せましょう。

大切なのは、産後の母親は大きなダメージを体に受けているということを周囲が理解することです。
そして、誰しもが産後うつとなる可能性があるということを理解し、社会全体でサポートできるようにすることです。
何より、一緒に生活をしている家族のサポートは欠かせません。
また、育児をしている先輩ママに事前に相談するのもいいでしょう。
一人で抱え込む必要はありません。
ぜひ周囲を巻き込んだ子育てを考えてみてください。

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砂川菜美株式会社ドクタートラスト 産業保健師

投稿者プロフィール

行政保健師として、乳児から高齢者まで幅広い世代の方々の健康に携わる中で、働く世代の健康増進の難しさと重要性を感じ、現在は産業保健師として活動しています。
健診事後措置や面談などの基本業務はもちろん、健康管理体制構築サポートや健康セミナーなど多方面で活動中。これまでの経験を活かし、それぞれのライフスタイルに寄り添った情報提供を行ってまいります。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、健康運動指導士、人間ドック健診情報管理指導士、NARD JAPAN認定アロマアドバイザー
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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