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とってもおそろしい“傍観者効果”の話
- 2019/3/26
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「傍観者効果」という言葉を聞いたことはありますか?
実はとても危険なものなのです。
今回は「傍観者効果」が職場で起きた時に生じる職場への影響についてお伝えしたいと思います。
傍観者効果とは?
傍観者効果とは、簡単にいうと、「他人の緊急事態に対して行動を起こさない心理効果」のことです。
傍観者効果が発生してしまう原因は、主に以下の3つとされています。
原因1:多元的無知
原因2:責任の拡散
原因3:聴衆抑制
それではこの傍観者効果が起こる原因について、とある架空の職場で考えてみましょう。
傍観者効果の具体例
納期が迫った仕事を抱え、毎日遅くまで残業をしている人、Aさんがいるとします。
Aさんが残業をしていることは周知の事実です。
そんなAさんのチームには、Aさん以外に4人のメンバーが所属しています。
しかし、残業をするAさんに対して「手伝おうか?」と一言をかける人はだれもおらず、皆さん定時になると帰っていってしまいます。
そしてAさん1人では仕事を終わらせることができず、取引先からクレームが入ってしまいました。なぜ、このような結果となってしまったのでしょうか?
原因1:多元的無知
人は、事態の緊急性がわからない場合、同じ状況にいる他者の様子から事態の緊急性を把握しようとする性質があります。
これをAさんの職場に当てはめてみましょう。
Bさん「毎日遅くまで働いている人だし、いつも通りだよね。」
同じチームの人は、そんなふうに考えたのかもしれませんね。
でも、本当はAさんが残業をして対応している仕事は納期が迫っていて、クレーム直前の危ない状態かもしれません。
見かけだけではなかなか緊急性というのは判断しづらいもので、他者が積極的に行動していない場合、事態は緊急性がないと考えてしまうのです。
忙しくしている人に誰かが声をかけていたら、「何か緊急事態なのかな、私も手伝わなきゃ」と思いますよね。
しかし、誰も声をかけずにいると、「なんだ、たいしたことじゃないんだな」と考えてしまう、そんな心理が働いているのです。
原因2:責任の拡散
人は、周りに人がいるだけで、「自分がやらなくても、誰かが何とかしてくれるだろう」という考えから、行動を起こしにくくなる性質があります。
Dさん「私が先に帰っても、他の人も帰ってるんだから責められることはないよね」
そんなふうに考えたのかもしれませんね。
これが傍観者効果の本当に危険なところなのです。
この「責任の拡散」によって、周囲の人が全員「自分がやらなくても、誰かが何とかしてくれるだろう」と思ってしまうと、助けることができる状況にいたにもかかわらず、全員が傍観者となり、その結果、Aさんは1人では仕事を終わらせることができず、クレームにまで達する最悪の事態となってしまったのです。
原因3:聴衆抑制
人は誰かを助けようとして行動した結果、マイナスな評価を受けるかもしれないと懸念を抱くことで行動をしなくなるという性質があります。
Eさん「声をかけても、逆に迷惑と思われたら嫌だな…」
Fさん「声をかけても、うまく対応できなかったら恥をかくな…」
そんなふうに考えたのかもしれませんね。
このように、行動を起こした結果が自分にとって悪い結果となってしまうことを恐れ、行動を起こさないということも、傍観者効果の大きな要因といえます。
チームで仕事をすること、助け合うことが大事
「自分がやらなくても、誰かが何とかしてくれるだろう」という個人主義の考えは、いざトラブルが発生した時には致命的です。
また、お互いに助け合いながら仕事をすることで団結力が高まり、生産性の向上にも繋がるのではないでしょうか。
傍観者効果が発生しないような環境、社風を作ることが、働き方改革にも通じるような気がします。