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冬は不調になりやすい? 冬季うつを覚えておこう
- 2019/2/26
- ドクタートラストニュース
2月も下旬になりましたが、寒い日が続いていますね。
冬は気分の落ち込みを感じたことがありませんか?
なんだか怠い、身体が重い、気持ちが暗い……など。
こういった体験をしたことがある方もいると思います。
ちなみにわたしは毎年、寒い場所にいるとしっかり寝た日も、眠くてあくびが止まらないという奇妙な現象が起きます。
みなさんの周りに冬になると不調になる方などはいらっしゃいませんか?
仕事の効率が下がったり、ミスを繰り返したり、なんだか元気がない方…。
冬は行動面でも不調が目立つ季節だと言われています。
今日は冬の気候がもたらす不調についてお話したいと思います。
冬季うつ病
さて、みなさん、〝Seasonal Affective Disorder = SAD”という言葉を聞いたことがありますか?
日本語では「季節性感情障害」といわれる病気です。
精神科医のローゼンタールらによって解明された「冬季うつ病(または季節性うつ病)」とも呼ばれる精神疾患をいいます。
一般的なうつ病は精神的なストレスが原因になることが多いのですが、このSADは主に季節・気候の変化による、日照時間の減少が、ホルモンの分泌バランスの乱れを引き起こることによって発症するとされています。
すべての人に当てはまるものではありませんが、特徴的な症状としては、以下が挙げられます。
① だるさや無気力感、集中力の低下
② 過眠(寝ても寝ても眠い、10時間以上寝てしまう)
③ 過食(特に菓子類や炭水化物を多く摂取してしまう)
発症には冬ならではの理由が
冬季うつ病には「目に入る光の量」が大きく関係しています。
人は光に当たると、脳内で満足感や精神安定をもたらすセロトニンという物質の分泌が行われます。
冬になり、日照時間が短くなると、このセロトニンの分泌量は減少してしまうため、だるさや無気力感、集中力の低下など、気分の不調が引き起こされてしまいます。
また、セロトニンは甘いものを食べると分泌が促進されるため、足りていないセロトニンを補おうと脳が甘いものを欲し、その結果、菓子類や炭水化物の過食を招くと考えられています。
過眠については、睡眠を促すメラトニンが関係してきます。
人は朝起きて、光を受けた14~16時間後に眠気がやってくるとう体内時計に則って生活していますが、受ける光の量が少ないとメラトニンの分泌が増えてしまい、これが「過眠」につながります。
日照時間が関係する病気のため、北欧や北米などの寒い地域では発症数も多く広く知られていますが、日本ではまだまだ知名度は低い状況です。
最初に私が冬場感じているといった「眠さ」も恐らくSADが関係していると思われます。
おそらく身体は日照時間の減少の影響を受け、メラトニンの過剰分泌が起きているのかもしれません。
原因がわかれば対策ができる
原因不明のだるさや過眠過食に陥ると、怖いですよね。
でも冬は日照時間が減る、日照時間が減ると体内ではこんな変化が起きている、そのせいでさまざまな症状が出てくる、という知識がつくと対策も講じることができるでしょう。
出勤前に少し散歩を取り入れる、お昼休みは日の当たる場所に出てみる、家では冬場だけベッドを窓際に置いてみるなど、生活のなかで工夫してみませんか。
強烈な食欲にかられた時には、「ああセロトニン不足なんだ」と理解して、トリプトファンを含んだものを選んだり、セロトニンの分泌を促す運動やハグコミュニケーションを行ったり、できることはたくさんあります。
また、もし職場で冬季うつ病のような症状が出ている人がいれば、ぜひ職場全体で知識を共有して、照度を上げる、窓際へ席替えをするなど職場で取り組める対策を考えていきましょう。
毎年だるいな~で終わらせず、今年の冬はぜひ自発的に冬季うつ病に立ち向かっていきましょう。
※睡眠と光の関係は、こちらの記事も参考にしてください。