定期健康診断の結果を見て、食生活の見直しを行っている方もいるのではないでしょうか。
最近、いろいろなダイエット方法があり、世界全体でも「健康」を意識したダイエットが注目されています。
食事についてどのように栄養をとったらいいのか、脂肪と糖質どっちを優先したらいいの? と思ったことはありませんか。
今日は、脂肪と糖質のそれぞれの特性についてお伝えし、皆さん自身が適切に食事コントロールできるよう参考にしていただければと思います。
脂質・糖質の働き
脂 質
- 生命のエネルギー源(1gにつき、9kcalのエネルギーを放出)
- ホルモンや細胞膜、核膜の構成、皮下脂肪として臓器を保護し、身体を寒冷から守る
- 脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を促す
※ 脂溶性ビタミンそれぞれの働き
ビタミンA:成長、生殖機能維持、上皮細胞の正常化。妊婦や乳幼児は特に大切なビタミン
ビタミンD:骨や歯の成長を助ける作用
ビタミンE:抗酸化作用、赤血球の破壊を防ぐ作用
ビタミンK:血液の凝固を助け、出血を予防。骨の形成を促す作用
糖 質
- 脳、脂肪組織、筋肉、肝臓などの組織における代謝に必須
- 代謝において糖質は脂質に比べ速やかに吸収されエネルギーに代わる。
⇒日内リズムを整える(リセット)ために大切な朝食は糖質をとることで、脳やその他の各臓器のエネルギーになり、活動性が高まることになる
過剰制限・過剰摂取による脂質・糖質の身体への影響
脂 質
- 過剰制限:脂質が不足するとエネルギー不足により疲れやすくなる。ホルモンや細胞の構造に関係しているため免疫力が低下し、脂溶性ビタミンが吸収されにくくなり、ビタミン欠乏につながる
- 過剰摂取:肥満、脳梗塞や心筋梗塞などの引き金となる動脈硬化、脂質異常症など
糖 質
- 過剰制限:糖質が不足すると脳へのエネルギー不足につながり、糖が足りない際にたんぱく質や脂質からエネルギーを補おうとし、筋肉量が減ってしまう。糖質制限により、エネルギーを補うため、たんぱく質や脂質を多くとるが血液中の脂質の増加や腎機能へ負担がかかる。
- 過剰摂取:肥満(エネルギーとして消費されなかった糖は中性脂肪として脂肪蓄積し、肥満につながる)、糖尿病発症のリスク
皆さんの健康診断結果と食生活を振り返り、脂質と糖質どちらに改善が必要だと感じましたか?
現状に合わせて食品を選びましょう!
脂 質
脂質は、①飽和脂肪酸、②一価不飽和脂肪酸、③多価不飽和脂肪酸があります。
① 飽和脂肪酸:動物油に多い(植物性の油であればココナッツオイル)
② 一価不飽和脂肪酸:血液中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)はそのままで、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる働き。動脈硬化を防ぐ効果がある
n-9系脂肪酸 オレイン酸:オリーブオイル
③ 多価不飽和脂肪酸:食品からしか摂取できない必須脂肪酸。血中のコレステロール濃度を下げる。
n-6系脂肪酸 リノール酸、アラキドン酸:コーン油や大豆油など植物油、加工食品
n-3系脂肪酸 α-リノレン酸、EPA、DHA EPA:えごま、亜麻仁(アマニ油)、青魚
※ n-3系脂肪酸は動脈硬化や心臓の疾患や脳卒中のリスクの低下、アレルギー改善などの効果があり、意識してとっていただきたい脂肪酸です。
☆保健師より一言アドバイス☆
脂質の多い食事の際は、コレステロールの吸収を抑える食物繊維が豊富な野菜や海藻類、きのこ類を一緒に摂取することをお勧めします。
糖 質
糖質には、①糖質(単糖類、二糖類)、②少糖類、③多糖類、④糖アルコール、⑤高甘味度甘味料に分けられます。
① 糖質:吸収されやすく、脳へもすぐに栄養が運ばれるが、脳へ栄養を与えられる時間は短い(インスリンの分泌により分解されやすいため)
単糖類:果物、はちみつ
二糖類:砂糖、麦芽糖、乳糖
② 少糖類(オリゴ糖):消化吸収されにくい。また、オリゴ糖は大腸の善玉菌を増やし、腸内環境が良くなる
③ 多糖類(白米、麺類、イモ類、豆類):腸からゆっくり吸収される。血糖の上昇がゆるやかなため、長い時間をかけて脳へ栄養を送り続けられる
④ 糖アルコール類(キシリトール、メロン、味噌、醤油、ワインなど):消化吸収されにくく、低カロリーのものが多い。一度に多量摂取すると、一時的におなかが緩くなることがある
⑤ 高甘味度甘味料(アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、ステビア飲料水や、健康食品などに使用されていることが多い):消化吸収されにくく、低カロリー。砂糖よりも少量で甘みが強い
脂質、炭水化物(糖質)は三大栄養素に含まれています。
どちらも非常に大切な栄養素です。
健康のため、自身の健康状態を踏まえ、制限等行ってください。
しかし、健康状態は日々変わってくると思いますので、制限を行う場合は一時的に行い、また全く摂取しないということが長期的に継続することは危険ですので、くれぐれも気をつけて食事コントロールを行ってください。