冷却ジェルシート、貼るならあそこが効果的!

例年にない暑さとなったこの夏、全国各地で熱中症による被害が相次いでいます。
屋外での活動中はもちろんのこと、屋内であってもエアコンを使用しなければ室温が30度以上になることもしばしばです。

また、日中の暑さだけでなく夜間も気温がほとんど下がらないという日が多く、1日を通して熱中症対策が必要となっています。
熱中症対策のひとつとして、冷却ジェルシートを用いている方を見かけることがありますが、熱中症対策として効果はあるのでしょうか?

夏場の熱中症対策だけでなく、風邪による発熱や怪我の際の炎症などでの使用についても考えてみたいと思います。

おでこに貼っても効果は少ない

昔から熱が出た時はおでこに氷嚢(ひょうのう)、今は冷却ジェルシートを貼るように、「おでこを冷やす」というイメージがありますね。
しかし、さまざまなところでいわれていることですが、おでこを冷やすというのは、体の熱を取るうえで効率的な方法ではないのです……!

効果的に体の熱を下げるためには、局所的に皮膚を冷やすのではなく体をめぐる血液の温度を下げることが大切です。
そのためには、おでこのように大きな血管のない場所ではなく、太い血管が走っている場所や、動脈が表面近くを走っている場所を冷やす必要があります。
具体的には首回り、脇の下、鼠径部(足の付け根のあたり)、手首、足首などです。

冷却ジェルシートはあくまで補助として

冷却ジェルシートを用いて冷やしたい場合は、上記のようになるべく首回りや足の付け根などに貼るようにしましょう。
しかし、冷却ジェルシートでは皮膚表面の熱を発散することはできても、血管温度まで下げることは難しいように思います。
熱中症や発熱時の対策として「体温を下げる」ことを目的とした場合は物理的に冷たいもの、たとえば氷枕・アイスノン・保冷剤・凍らせたペットボトル・濡らしたタオル、などを用いることを優先して、保冷ジェルシートはあくまで補助として使用するようにしましょう。

こんな使い方がおすすめ

風邪を引いた時は頭痛がしたり、熱があることで不快感があるものです。
また、熱が高いと体の節々が痛くなることもあります。
そんな時冷たいシートを貼ることでリラックス効果を得たり、苦痛を和らげることができます。
また、暑くて寝苦しい時や手足がほてって眠れないような時は、足裏などに貼っても眠りにつきやすくなる効果があるでしょう。

熱中症や熱を下げたいといった急性の症状は、冷却ジェルシートだけでは対応できません。必ず物理的に冷たいもので冷やすことを忘れないでください。
熱中症はどんな時にも起こり得るものですが、特に寝不足の時などに起こしやすくなります。

良い睡眠を取ったり苦痛をやわらげてリラックス効果を得るひとつの方法として、冷却ジェルシートもよいかもしれません。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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