裁量労働制の場合の育児時短勤務は可能?
- 2017/8/18
- 労働環境
裁量労働制の従業員より育児時短勤務希望の申し出が・・・
Q.社内の育児休業規程にて所定労働時間短縮についての条文を設けております。
この度、裁量労働制をとっている従業員より「出社の時間が調整できるメリットはそのままに業務量を以前よりおさえたかたちで働きたい」という申し出がありました。
この場合、会社としてどのような対応が求められるでしょうか?
そもそも裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令および厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。
主に広告等のデザイナーやコピーライター、建築士、弁護士、税理士などの業種で導入をされている制度となり、そのほかにも、研究開発職やシステムコンサルタント等さまざまな業種が対象となります。
企業に求められる対応とは
結論として、裁量労働制であっても、育児時短勤務は可能です。
裁量労働制は、会社より業務遂行の手段および時間配分の決定等について具体的な指示をしないことになっています。
そのため、きちんと成果を上げることができれば出勤時間等の調整も可能なため、育児と仕事の両立が比較的しやすいと考えられます。
たとえば、労使間で「対象従業員が、所定労働日に勤務した場合は、就業規則第△条に定める就業時間に関わらず、1日9時間労働したものとみなす」と設定をしているのであれば、達成目標も9時間分の業務を想定したものとなります。
しかしながら、現状の業務量をおさえた働き方にということになると会社が求める目標の変更やそれにともなった賃金の変更も必要となります。
9時間分の業務量に対する目標を6時間分の目標に修正するなどの配慮が必要となります。
その上で、賃金も基本給の6/9にするなど、会社としての制度を取り決めることになるでしょう。
さらに、こういったケースの場合、労使協定の見直しが必要になる場合もあるので注意が必要です。
柔軟な勤務体系の整備は必須
今後は育児だけでなく、介護や病気治療のための時短など、それぞれの理由で就業時間の短縮を希望するケースも増えてくる可能性が高いでしょう。
経験を積んだ社員が柔軟に働ける体制を整えることは、人材確保の観点からも重要です。
さまざまなライフスタイルに合わせていくために企業側、労働者側がそれぞれ納得できるような体制作りが求められるのではないでしょうか。