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「プレミアムフライデー」はワークライフバランスに貢献するか
- 2016/12/16
- ワークライフバランス, 労働環境
「プレミアムフライデー」という文字がここ数日紙面を踊っています。
いったい「プレミアムフライデー」とは何なのでしょうか?
本当に実現するのか、ここで改めて考えてみたいと思います。
プレミアムフライデーとは
「プレミアムフライデー」とは、毎月最終金曜日には、午後3時をめどに従業員に仕事を切り上げさせようという施策です。
世耕経済産業相は今月9日の閣議後の記者会見で、「プレミアムフライデー」について検討する協議会を12日に設立すると発表しました。来年2月24日開始として、全国の企業に賛同を呼びかける方針です。
早い時間に帰宅させることで、消費者に対して消費を促し経済を活性化させるのが目的のこの施策。
実際に導入されれば、該当日がハッピーマンデー等の連休と重なったり合わせて月曜日に有休を取ることで、3.5連休の取得が可能となります。
有休取得推進日としてこの「プレミアムフライデー」を打ち出すことで、有休取得率アップにもつながるのではないか、との考えもあるようです。
今後百貨店や旅行業界、外食産業等と提携して「プレミアムフライデー」に合わせた様々なイベントを開催していくことを検討しているといいます。
しかし、過重労働やワークライフバランスに注目が集まる今、満を持しての呼びかけではありますが、発表から数日、すでに世間では様々な不安の声が上がっていることを見過ごすことはできません。
浮かび上がるさまざまな疑問
協議会が立ち上がったばかりということもあり、「最終金曜日は3時に帰される」という情報のみが独り歩きをする中で、私はこの施策に対して下記のような疑問を感じました。
- 早く帰った分の給与はどうなるのか?
- 別日にその業務をこなさなくてはならない状況に陥るのでは?
- 本当に帰れるようになるのか?
まず最初に注目したいところは、この指針は、企業に「賛同を呼び掛ける」ものであるという点です。
実施するかどうかは、あくまでも企業の采配に任されているため、社員に「帰っていいよ」と言うかどうかはすべて各企業に託されています。
早く帰り家族と過ごす時間が増えることや仕事を早く切り上げることは、社員のモチベーションアップ等につながることは間違いないでしょう。
ワークライフバランスを掲げる企業ではぜひ導入に前向きに取り組んでほしいと思いますが、上記のような疑問への対策なしに、導入は難しいものと思われます。
「帰れ」と言われても素直に喜べない現状
勤務時間が減る=給与が減るのではないかという発想は、いたって普通のことのように思います。
物価の高騰や所得の減少が嘆かれる今、この指針が発表された時にも、ネット上では「消費を促すにしても、消費するだけの給与がほしい」といったつぶやきも多く見かけました。
また、業務量が変わらないのに帰れと言われても、他の曜日にしわ寄せがいくだけではないかという懸念も当然のように思います。
こういった疑問への解決策として、一案としてはテレワークやフレックスタイム制が思い浮かびます。
しかし、勤務時間外も仕事に取り組めるテレワークは、早く会社を出たとしても、仕事をする場所が外に変わっただけで休みにはならないのではないかとも思います。
また、フレックスタイム制も同様で、早く帰った時間を取り返すため、早朝に出勤する社員等が出るなどの事態が発生することが容易に想像できます。
私の知人の勤める会社は、社員が自由に有給休暇を取得するのではなく、会社が業務上のスケジュールに基づいて設定した日程で自動的にスケジュールに組み込み、強制的に100%の消化を行っています。
そういった仕組みの会社では、もしかするとプレミアムフライデーに帰るならと毎月末金曜日に最初から有休が組み込まれてしまい、より自由に有休の取得ができなくなるかもしれません。
また、今回の指針は週休2日のカレンダー通り営業する企業には良いですが、逆にサービス業等の企業にはかき入れ時となり、さらに多忙になることが予想されます。
捉え方は様々だと思いますが、そういった意味で喜ばしく思っていない人もいるのではないでしょうか。
繁忙期が増える分、他でしっかりと休める体制を作る等、綿密な対策が必要です。
せめてこれから定まっていくであろう制度自体の指針として、導入に伴う労働条件の悪化を防ぐこと等が義務付けられることを願ってやみません。
協議会が立ち上がったばかりの今、これからの検討に期待したいと思います。
どんな働き方を目指す企業なのか?
「プレミアムフライデー」が2月に開始されるにしても、結局のところポイントは、各企業がどのように自社の働き方について向き合い、施策を打つかではないでしょうか。
「プレミアムフライデー」の議論をきっかけとし、多くの企業で改めて働きやすい職場環境について考えていただけることを願います。