「とても敏感」という遺伝特性、HSPを知ってますか?
- 2016/12/16
- メンタルヘルス
5人に1人がHSP
HSPとは「Highly Sensitive Person」の頭文字を取ったもので、直訳すると「とても敏感な人」という意味になります。
現在、世の中のおよそ5人に1人がHSPだといわれています。
HSPは決して病気ではありません。
HSPという概念は、アメリカの精神分析医で学者のエレイン・アーロンによって、1996年に提唱されたものです。
しかし、この分類は性別の違いよりも隔たりがあるように思えるかもしれません。
「とても敏感」でありながら社会の中で生きていくこと
HSPは遺伝特性であり、生まれ持った特性です。
大まかには以下のような特徴があります。
・一度に多くの情報を吸収できる
・音やにおいなど微細な違いも察知できる
・ゆっくり、深く多角的に考えられる
・とても慎重で、危機管理能力が高い
・共感力が高く、気配り上手
・誠実で、責任感がある
・想像力が豊かで、内的生活が充実している
このような能力を持つことは、社会の中では「生きづらさ」と感じる面と、「人の倍喜びを感じることができる」面と、どちらの点も挙げられます。
ただ、日本人のHSPの多くは自らの性格を「内向的」「心配性」「神経質」と消極的に考え、自己否定感の強い方が多い傾向にあります。
自分のHSPを自覚し、受け入れる
HSPは概念であり日本ではまだあまり周知されていないため、自分自身がHSPであると自覚していない人も多くいます。
また、HSPかどうかのチェックテストは自己診断であり、客観的な判断ではありません。
そのため、多く当てはまったからといって必ずしもHSPを持っているとは限らず、また当てはまったからと深刻に考えすぎる必要もありません。
ただ、自分自身でどう頑張っても自己肯定感を持てず、多くの情報や感情を敏感に察知し疲弊してしまう、そのような特性が自らにあることで生きづらさを感じている人は、もしかしたらわずかでもHSPを持っているのかもしれません。
そしてそれが自分の特性であると気づき、受け入れることによって自らの思考パターンを意識的に変えることができます。
たとえば、
・気疲れする→人の気持ちを汲み取るのが上手、人の気持ちに共感できる
・すぐ不安になる→危険を察知するのが上手
・臆病→慎重
・敏感すぎる→よく気がつく
・過敏すぎる→配慮ができる
・傷つきやすい→繊細で感受性が豊か
ネガティブな感情を意識的にポジティブに言い換え、「これが自分の性格だ」と受け入れることができるだけで、それまで理由の分からない不安だったものが、解決のできる問題となります。
周囲にHSPを持つ人がいたら
正直に言ってしまうと、HSPを持たない人がHSPの感覚を想像し、共感することはとても難しいことです。
医師に診断をされるようなものでもないため、本人の「甘え」や「忍耐力のない人間」だと感じ取ってしまう場合のほうが多いかもしれません。
ただ、この様な特性を持つ人々がいる、と知ることだけでも理解への一歩に繋がります。
そしてそれを「面倒くさい性格」だと突き放してしまうのではなく、「個性」の一つとして受け入れることができればHSPの人にとっても大きな環境の変化になると思います。
HSPを持つ人は、自ら「自分はHSPです」と主張する人ばかりではないと思いますが、職場や友人関係の中にこういった特性を持つ人がいるかもしれません。
それらを知ることは、様々な人々にとって互いに生きやすい環境創りに繋がると私は考えます。