2023年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン実施中~トラブルを未然に防ぐ5つのポイントとは~

新年度、新学期が始まって早1ヵ月が経ちました。
新入学生、新入社員の皆様は新しい生活にもやっと慣れてきた時期でしょうか。
この時期は新しいことを始める絶好の機会であり、アルバイトの開始も例外ではありません。
厚生労働省は、多くの新入学生がアルバイトを始める4月~7月に「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施しています。

学生側には、自らの労働条件の確認をしっかり行うことの啓発やトラブルに遭った際の相談コーナーの案内を、企業側には、正しい労働条件の提示をしているか、勤務シフトの適切な設定などを確認するよう呼び掛けています。

今回はこのキャンペーン内容を確認していきましょう。

キャンペーンの概要

キャンペーン概要は以下のとおりです。

1. 実施期間
令和5年4月1日から7月31日まで
2. 重点的に呼びかける事項
(1) 労働条件の明示
(2) シフト制労働者の適切な雇用管理
(3) 労働時間の適正な把握
(4) 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
(5) 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
3. 主な取組内容
(1) 都道府県労働局による大学等への出張相談の実施
(2) 大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発
(3) 都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応
引用元:厚生労働省「令和5年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します」

アルバイトの働き方は主に「シフト制」であり、オフィスの働く正社員のように勤務時間が固定されていません。
故にシフトのキャンセルや変更、残業代の考え方などでトラブルが発生しやすいのです。
そのため、重点的に呼びかける事項として、労働条件や労働時間の適切な把握、シフト労働者の雇用管理などが改めて呼びかけられているのです。

ではどのような点に注意していけばいいのか、確認していきましょう。

トラブルを未然に防ぐポイント5つ

厚生労働省は企業側には対して、以下5つの確認を呼びかけています。

① アルバイトを雇うときに、書面で労働条件を示していますか?

「求人サイトなどに掲載した情報を見て入社してきたんだし、わかってるでしょ」とアルバイトに対しての労働条件の提示をないがしろにしていませんか?
雇い始めてから「最初の話と違う」「ちゃんと面接のときに口頭伝えた!」など、言った言わないのトラブルになりかねないので、きちんとアルバイトに対しても労働条件通知書などの書面で労働条件をしっかり明示しましょう。
アルバイト労働者が希望した場合には、メールやファックスなどの印刷できるものによる明示も可能です。

② 学業とアルバイトが両立できるようなシフトを適切に設定しましょう!

学生アルバイトの場合、本分は学業であり、試験期間中は希望に応じてシフトを減らしたり、期間中は入れないようにするなど、学業と両立できるように配慮する必要があります。
ところが、2015年に厚生労働省が実施した「大学生等に対するアルバイトに関する意識調査」では、「試験の準備期間や期間中に休めなかったり、授業に出られないほどのシフトを入れられた、または変更された」という回答がありました。
「人が足りない」は企業側の問題であって、学生アルバイトに依存するのは間違っています。
このような状況になっていませんか?
勤務シフトが適切に設定されているか、確認しましょう。

③ アルバイトについても労働時間を適正に把握していますか?

アルバイト労働者についても正社員同様に、労働日ごとの始業・終業時刻の適正な記録が必要です。
また、業務に必要な準備や片付けの時間、参加義務のある研修の受講時間なども労働時間です。
もちろん残業手当の支払いも必要ですね。
労働時間の把握については、厚生労働省が出しているガイドラインもご覧ください。

★厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

④ アルバイトに商品を強制的に購入させたりしていませんか?

希望もしていないのに商品購入を強制することはもちろんできません。
仮に、アルバイト本人が希望して商品を購入したとしても、賃金から労使協定なしに一方的に商品代金を差し引くことは労働基準法に抵触しますので注意しましょう。

⑤ アルバイトの遅刻や欠勤などに対して、あらかじめ損害賠償額などを定めたりしていませんか?

「遅刻や欠勤などを防ぐために先に定めておきたい……」という気持ちは理解できますが、労働契約不履行や不法行為に対して、あらかじめ損害賠償額などを定めることはできません。
このような職場の秩序を乱す行為を繰り返すアルバイトへの制裁として、就業規則に基づいて賃金の一部を減額する場合であっても無制限に減給することはNGです。

アルバイトを始めたばかりの学生さんへ

企業側がアルバイト労働者に対して上記のように配慮することはもちろん大切なのですが、アルバイト労働者の皆様も「アルバイトで働くこと」に関する知識を深めておきましょう!
何ができて、何を企業側に求めることができるのか知っておくだけでトラブル回避や自身の安心感につながります!

学生の皆様に対しては、以下7つのポイントを厚生労働省は提示しています。

① アルバイトを始める前に、労働条件を確認しましょう
② バイト代は、毎月決められた日に、全額支払いが原則です!
③ アルバイトでも、残業すれば残業手当がでます!
④ アルバイトでも、条件を満たせば有給休暇が取れます!
⑤ アルバイトでも、仕事中のけがは労災保険が使えます!
⑥ アルバイトでも、会社都合の自由な解雇はできません!
⑦ 困ったとくは各地の総合労働相談コーナーに相談を!
引用元:厚生労働省「アルバイトをする前に知っておきたい7つのポイント(PDF)」

特に⑦については、キャンペーン期間中の4月~7月は若者相談コーナーを設置しているようです。
もし悩むことがあったら利用してみてください。

人手不足が叫ばれ続けるなか、企業にとってアルバイト労働者も重要な人材、力になります。
なかなかアルバイトが定着しない場合は、この機会に今回ご紹介した条件や制度面をしっかり見直してみましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「令和5年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します」
・ 厚生労働省「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果について」

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中川果穂株式会社ドクタートラスト 広報

投稿者プロフィール

幸福度や労働生産性が高いと評される北欧(ノルウェー)へ留学した際、仕事に対する日本と北欧の良いところ悪いところをひしひしと感じてきました。この良いところをお伝えすべく、北欧の労働環境などに関しての情報はもちろん、身近な話題や疑問を分かりやすくお仕えできるよう日々勉強中です!
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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