毎年2月は全国生活習慣病予防月間~2023年のテーマは「一無」~

毎年2月は全国生活習慣病予防月間です。
全国生活習慣病予防月間とは、一般社団法人日本生活習慣病予防協会が主催する生活習慣病予防と健康寿命の伸長を目指した活動で、「一無、二少、三多」を基本テーマに行われています。

・ 一無:無煙・禁煙のすすめ
・ 二少:少食・少酒のすすめ
・ 三多:多動(今よりからだを多く動かす)、多休(しっかり休養をとる)、多接(多くの人、事、物に接する)

2023年のテーマは「一無(無煙・禁煙)」です。
令和元年国民健康・栄養調査によると、現在習慣的に喫煙しているものの割合は総数で16.7%であり、男性27.1%、女性7.6%でした。
経年でみると有意に減少していますが、喫煙が原因で亡くなる方は約19万人と高血圧に次いで2番目に多いのが現状です。

出所元:厚生労働省「第17回健康日本21(第二次)推進専門委員会」資料1をもとに筆者作成

また、喫煙者は非喫煙者とくらべて余命が10年短くなるという海外のデータもあります。
しかし、禁煙することで喫煙によって短くなってしまった余命を取り戻すことができるかもしれません。
今回は喫煙と生活習慣病の関係と禁煙の効果についてご紹介いたします。

喫煙と生活習慣病の関係

喫煙により、生活習慣病のリスクが上がることが報告されています。
喫煙者は、非喫煙者とくらべてメタボリックシンドロームや糖尿病に2倍近くかかりやすく、また、喫煙者でメタボリックシンドロームの方は、どちらでもない方にくらべて脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患にかかるリスクが4~5倍ともいわれています。
最近は紙巻たばこではなく加熱式たばこ(電子たばこ)を吸われている方も多くいますよね。
周囲や自身への害が減るからという理由で変えた方もいるのではないでしょうか。
しかし、加熱式たばこも紙巻きたばこと同様にWHOのFCTC(たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約)で規制される対象です。
FDAも加熱式たばこが従来のものより害が少なく、健康へのリスクを低減するという効能は認められていません。

禁煙の効果

長年喫煙しているから、すでに手遅れではないかと思っている方も禁煙するのに遅すぎるということはありません。
時系列でみると、禁煙の効果は下記のようになることがわかっています。

・ 禁煙~24時間後:心臓発作の可能性が減少
・ 2週間から3か月後:心臓や血管など、循環機能が改善
・ 1年後:肺機能の改善
・ 2~4年後:虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3減少
・ 5~9年後:肺がんのリスクが低下する
・ 10~15年後:さまざまな疾患のリスクが非喫煙者のレベルまで近づく

世界各国の研究をまとめたアメリカの報告では、「禁煙は性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらす」と報告されています。

禁煙をスタートするために

◇禁煙開始日を決めましょう

いつか始めるではなかなか始めることができません。
仕事や家庭のストレスが少ない時期や誕生日、記念日からなど、開始日を決めましょう。
企業での禁煙への取り組みとして、開始日を決めるのもよいかもしれません。
実際に保健指導をさせていただく中で、健康のために部署内全員で禁煙を始めたという方もいました。ひとりで始めるにはハードルが高く、辞められる自信がないという方こそ、誰かと一緒に行うことをおすすめします。

◇吸いたくなった時の代替案をあらかじめ考えておきましょう

たばこを吸いたくなるタイミングはいつか、どんな時にたばこを吸っているかを思い出してみてください。
そして自身に合った方法を考えましょう。
たとえば、食後に吸いたくなる方は、食後の一服を食後のコーヒーにするなど、事前に考えておくとよいでしょう。

◇禁煙宣言をしましょう

禁煙を始めることを宣言することで、目標達成へのモチベーションが高まり、禁煙がつづきやすくなります。

◇禁煙を続けやすい環境をつくりましょう

禁煙開始日までに、喫煙グッズを処分したり、薬局などでニコチンパッチやニコチンガムなどの準備をしたりしておきましょう。
また、禁煙外では精神面での禁煙サポートや、ニコチン置換療法などによる禁煙治療が行えます。
禁煙外来は下記の条件すべてに該当した場合保険診療で禁煙治療を行うことができます。

1. ニコチン依存症スクリーニングテストが5点以上
2. 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200点以上
3. ただちに禁煙することを希望している
4. 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方

この条件に満たしていない方でも、自由診療で禁煙治療を受けることができます。
費用は病院やクリニックにより異なりますが3~5万円程度です。
また、健康保険組合によっては、禁煙外来治療補助金制度などもありますので確認してみましょう。
ご自身に合った禁煙方法で、この機会にぜひ禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 一般社団法人日本生活習慣病予防協会「一無、二少、三多で生活習慣病を予防!全国生活習慣病予防月間」
・ 厚生労働省「第17回健康日本21(第二次)推進専門委員会」資料1
・ 厚生労働省e-ヘルスネット「加熱式たばこの健康影響」
・ 厚生労働省e-ヘルスネット「禁煙の効果」
・ 一般社団法人日本循環器学会禁煙推進委員会「禁煙教材のご紹介」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

杉下 ももか株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

大学で栄養や健康について学ぶ中で、集団に対する栄養指導や、スポーツとのかかわり、予防について興味を持ちました。食べることが大好きで、いかに楽をしてバランスの良い食事ができるかを日頃から考えています。
【保有資格】管理栄養士
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】「抗原」「抗体」ってなに? コロナ抗体検査は必要?

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る