子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種が開始!1997~2005年度生まれの女性が対象です
- 2022/5/11
- WOMAN
子宮頸がんは、発症者のうち20歳代~40歳代の女性が4割を占める、若い年代でも発症する可能性が比較的高いがんです。
20歳以上の女性は、2年に一度、自治体から健診案内が届いたご経験もあるのではないでしょうか。
子宮頸がんは、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因となり発症します。
主に性的接触により感染し、女性の多くが一生に一度は感染するとされています。
感染してもがんとなる前に自然治癒することが一般的ですが、がん化して進行すると手術や治療が必要になり、子宮摘出が必要になったり、命を落とす場合もあります。
予防・早期発見のためには、HPVウイルスのワクチン接種・定期的な検診が重要とされています。
この記事では、HPVワクチンについて、そして2022年4月に開始した「キャッチアップ接種」について解説します。
HPVワクチンに関する経緯
がん化しやすい高リスク型のHPVウイルスへの感染は、ワクチン接種による予防効果が認められています。
感染する前に接種することが重要なものの、日本はほかの先進国と比較して接種率が低い状況にあり、罹患率も2000年代以降、増加しています。
HPVワクチンは、2013年に小学6年生~高校1年生の女子を対象に定期接種ワクチンとされ、公費助成での接種が開始されました。
しかし、接種後にワクチンとの因果関係を否定できない副反応(広範な疼痛、運動障害など)が報告され、厚生労働省による調査が行われる間、「積極的な接種勧奨を差し控える」とされていました。
その後、専門家の調査・検討の結果、「HPVワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められた」と発表され、2022年4月から接種の勧奨が再開されることとなりました。
1997~2005年度生まれの女性は接種率が著しく低い
HPVワクチンの積極的接種が差し控えられていた年代は、2022年度に17~25歳となり、働く世代にさしかかっています。
この年代は接種率がほかの年代にくらべて低く、今後子宮頸がんのリスクが高い世代となる可能性があることが懸念されています。
厚生労働省は、この年代の女性について、無料でHPVワクチン接種を受けられる「キャッチアップ接種」を2022年4月より開始しました。(2025年3月までの3年間)
HPVワクチンは16歳頃までに接種するのが最も効果が高いとされていますが、それ以上の年齢で接種しても、ある程度の有効性が認められています。
子宮頚がんは若い年代での発症率が比較的高いことから、発症すると妊娠・出産というライフイベントはもちろん、働き盛りの女性のキャリアに大きく関わる可能性があるため、若い女性従業員を抱える企業にとって無視できる問題ではありません。
子宮頸がんの予防のために……企業としてできることは?
企業として、子宮頸がんに関する適切な情報提供を行うことが、女性の健康を守ることにつながります。
ワクチン接種を最終的に判断するのは本人ですが、キャッチアップ接種対象の女性自身も、自らがその対象であると知らない場合もあります。
厚生労働省から、キャッチアップ世代に向けたリーフレットも提供されていますので、社内での情報提供に活用してみてはいかがでしょうか。
厚生労働省「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~」
また、キャッチアップ世代以外でも、自費での接種が可能です。
HPVワクチン接種は、間隔を空けて3回接種する必要があるため、何度も医療機関への受診が必要となります。
就業時間内のHPVワクチン接種を認めるなど、希望者が受診しやすい環境を整えることも接種の後押しにつながりますね。
もちろん、ワクチンを接種したとしても、必ず子宮頸がんを予防できるわけではありません。
2年に1回の子宮頸がんの検診をきちんと受けるよう、あわせて勧奨していくことも重要です。
<参考>
・ 厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」
・ 厚生労働省「HPVワクチンに関するQ&A」
・ 厚生労働省「HPVワクチンに関するこれまでの経緯及び厚生労働省の対応」
・ 公益社団法人日本産科婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」