近年職場のハラスメントが問題視されていますが、防止対策に苦労している企業は多いのではないでしょうか。
「そんなつもりじゃなかった」と知識不足から、無自覚でハラスメント行為を行っている人もいます。
またそれは逆に「何がハラスメントと受け取られるかわからない」といった不安からコミュニケーションが希薄になるケースもあります。
いずれにせよ、ハラスメントを防止してくのはとても大変な取り組みです。
やってはいけないことに注力しない
ハラスメントをしてしまうと、最悪の場合、会社や行為者個人が法的な責任が問われることもあります。
日頃ニュースで見聞きすることがあるにもかかわらず、なぜか「他人事」感覚が抜けないのが現実…。
ハラスメント防止の担当者もお困りではありませんか?
では、どうすれば「自分事」として考えられるのか?
ハラスメント対策がうまくいかない要因を考えてみるとこんなことが挙げられます。
① 「やったほうがいいこと」より「やってはいけないこと」を覚えようとしてしまう
② 「やってはいけないこと」が多すぎて、「何も言わない、やらない」という心理状態になる
③ ハラスメントを恐れ、適切な業務指示や指導ができなくなり、生産性が下がると思ってしまう
ハラスメント防止に対するネガティブなイメージを払拭すること、また、行動を継続させるには自発的な動機付けが不可欠です。
リッカートのマネジメント・システム論(システム4理論)
ミシガン研究というものを聞いたことはありませんか?
この研究ではリーダーシップが組織のモラルや業績に影響を与えるという仮説を検証しました。
システム1)権威主義専制型
生産性指向>>>>従業員指向
・ リーダーは部下を信頼せず意思決定に参加させない
・ 部下は、恐怖、脅迫、懲罰よって動かされる
・ 強烈なトップダウン型
システム2)温情主義専制型
生産性指向>従業員指向
・ リーダーは部下をある程度信頼しているが、恩着せがましい態度をとる
・ 部下は決められた範囲でのみ意思決定できるが、多くの決定権はリーダーにある
・ 報酬、懲罰、罰のほのめかしによって、部下を動かす
システム3)参画協調型
生産性指向=従業員指向
・ リーダーは部下を相応に信頼し、個別問題は部下に任せる
・ 双方向のコミュニケーションがあり、報償と時により懲罰、ある程度の参画で部下の動機づけを行う
システム4)民主主義型
生産性指向<従業員指向
・ リーダーは部下を信頼し、意思決定は広く組織全体で行われる
・ コミュニケーションは上下のみならず同僚間でも行われる
・ 全面的な参画により部下は動機付けられ、広範な相互作用が実現する
この検証を実施したところ、高業績のリーダーは従業員志向、低業績のリーダーは生産性志向という結果に。
つまり民主主義のマネジメントは生産性にもプラスの影響があるということが立証されました。
恐怖や懲罰で部下をコントロールしても生産性は上がらず部下の士気は下がります。
またハラスメント行為を誘発しやすい環境のため、会社・上司のリスクが高まります。
逆に民主主義を目指せば生産性は向上し、双方向のコミュニケーションを意識することで、ハラスメントのリスクも下がります。
民主化を目指して
ハラスメントが起きる原因は、そもそも日々のコミュニケーションやマネジメントに潜んでいる可能性があります。
その見直しを行うことは、ハラスメント防止と生産性向上を並行していくうえでも重要な視点です。
ぜひ「民主主義」を目指してください!