読者の皆様の会社でもアルバイトさんやパートさんを雇用しているケースがあると思います。
今回はそういったパートタイム労働者の解雇についてのお話をします。
パートタイム労働者の定義
まず、一般的にパート・アルバイトと呼称される従業員とはどのような人が対象となるのでしょうか。
パートタイム労働者とはパートタイム労働法によって「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義される従業員の方々を指します。
解雇の種類
従業員の解雇は大別すると「懲戒解雇」と「普通解雇」の2種となります。
懲戒解雇とは、懲戒処分の中で極刑として位置付けられ、従業員は解雇予告の手当なしの即時解雇や退職金の不支給など多くのペナルティを伴う可能性があります。
この懲戒解雇には、社内における刑法犯に該当する行為をした場合や、会社に重大な損害を与えた場合など、相当程度の客観的に合理的な理由を求められ、解雇事由に対して懲戒解雇の処分が重すぎるとされた場合、当然その解雇は無効とされることもあります。
もう一つが「普通解雇」です。
今回はそのなかでも「整理解雇」についてご説明します。
整理解雇とは、「会社が事業を継続するにあたって経営の合理化が必要とされ、そのために行う人員の削減」を指します。
読者に皆様の職場でも、ITの導入や新しい作業機械の設置によって、今まで以上に人手が必要になることがなくなった、などのことはないでしょうか?
そういった際に行われる人員の削減が整理解雇となります。
整理解雇を行う際にも「人員削減の必要性」「解雇回避努力の有無」「人選の合理性」「手続きの妥当性」などの要件が満たされないことには、正当な解雇として認められない場合があります。
パート・アルバイトに対してもそれらを満たさなくてはならないのか?
タイトルに戻りますが、結論からいうと当然「NO」です。
一定の条件を満たすことによって合理的理由の緩和がされる場合はありますが、それでも解雇予告・解雇予告手当などの規定はもちろん適用されます。
解雇予告とは、労働基準法20条に規定される、「会社が従業員を解雇しようとする場合には、少なくともその30日前には予告をしなければならない」というもので、もしこれが30日に満たない日数で解雇がなされた場合には、その差分に日数に相当する平均賃金を“解雇予告手当”として支払わなければなりません(もしくは解雇が成立しないため、支払うまで雇用しなければならない)。
皆様の職場では、パート・アルバイトさんも正社員と同じように会社の一端を支える従業員として、正社員と同じように取り扱い、ちゃんと労っていますでしょうか?
経営上の理由など、やむを得ない場合であっても正当な手続きを経て人員の整理をしていますでしょうか?
同じフロアで働くパート・アルバイトさんの名前をちゃんと把握していますか?
パート・アルバイトや契約社員でも等しく正社員と同じく正当な取り扱いを受けられるようになることを願います。