仕事中なのに何度もトイレへ…それって頻尿かも?

突然ですが、今日何回トイレに行きましたか?
「仕事中なのに、大事な会議なのに、急いでいるのに、何度もトイレへ行きたくなってしまって困っている……」ということはありませんか?
もしかすると、あなたは頻尿かもしれません。
頻尿は思わぬ病気のサインであることもあります。
なかなか人には相談しづらい尿の悩み、一緒に考えていきましょう。

どこからが頻尿?

頻尿の定義について、日本泌尿器学会ではこのように発表しています。

「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。
一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。
しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。

出所:「こんな症状があったら – 尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」(日本泌尿器科学会)

もとから排尿回数が多く、生活に問題がないのであればよいのですが、最近妙に排尿回数が増えた、という方は要注意です。
では、なぜ頻尿になるのでしょうか。

なぜ頻尿になるの?

頻尿にも疾病にかかわる場合と、そうでない場合とあります。

過活動膀胱

膀胱にある程度の尿がたまると、脳にその情報が伝わり、人は尿意を感じます。
正常な状態であれば尿意を感じてもトイレに行く前に漏れてしまうことがないよう、脳からの「今は排尿してはいけない」という命令によって膀胱の周辺の筋肉が活動します。
尿を我慢するときには、尿をためている膀胱を広く保つために膀胱をゆるめて、逆に尿の通り道である尿道を閉じて、排尿が起こらないようにしています。
尿を出す際には、尿を押し出すために膀胱を収縮させて、尿道を開き、排尿します。
ところがそのメカニズムに何らかの異状が生じてしまった場合、膀胱にまだ尿がたまっていないときや、脳が「排尿してよい」と命令していないときに、勝手に膀胱が収縮したり尿道が開いたりして、急に尿が漏れだしてしまうことがあります。
これが過活動膀胱です。
脳から膀胱の筋肉への命令の伝達がうまくいっていない、脳からの命令はきちんと伝達されているが膀胱の筋肉が加齢による衰えや膀胱周辺の病気による疲労のせいで命令通りに動けない、といったことが原因です。

残尿がある

正常であれば排尿すると膀胱にたまっていた尿はほぼ全て出し切ることができますが、何らかの原因で排尿しても尿を出し切ることができず、残ってしまうことがあります。
そのため排尿してもすぐにまた尿がたまり、何度も何度も尿意を感じてしまいます。
男性ですと前立腺肥大によって尿道が圧迫されてしまうことが原因である場合が多く、それ以外では膀胱周辺の病気や手術によって膀胱の神経が障害されて、排尿の際にうまく膀胱を収縮させられなくなることも原因となります。
排尿しても残尿感がある状態が続く際には受診してください。

尿の量が多い

膀胱に異常はなくても、尿の量が多いと排尿の回数は増えることになります。
これは単純に水分や利尿作用のあるカフェイン・アルコールの過剰摂取、利尿剤の服用が原因で日常的に起こることがあります。
もしくは糖尿病などの内分泌疾患で身体が多量に尿を産生している可能性もあります。

尿路感染

膀胱や前立腺など尿路に何らかの感染があり膀胱炎などの炎症が起こってしまうと、膀胱の知覚神経が刺激されてしまい、尿意を感じやすくなり、頻尿になります。
頻尿に加えて排尿時の痛みや尿の濁りがあるときは必ず受診するようにしましょう。

膀胱がん

まれに膀胱がんや子宮がんなどの腫瘍が原因で頻尿になることがあります。
症状が出てからの受診も必要ですが、日頃から検診を受け、充分注意するようにしましょう。

心因性

膀胱などに異常がないにもかかわらず、ストレスや緊張で脳が過敏になってしまい、少しの尿でも排尿したくなってしまう状態に陥ることがあります。
この場合なるべくリラックスしてストレスや緊張をほぐしてあげることが必要です。

頻尿をどうやって解消する?

ここからは疾患が原因でない頻尿の解消方法についてご紹介します。

トレーニング

過活動膀胱や心因性の頻尿が原因である場合、膀胱や筋肉のトレーニングで解消できる可能性があります。
尿意を感じたとき、すぐにトイレへ行かずに少し我慢してみましょう。
少しずつで構わないので我慢できる時間を延ばしていき、最終的に前回の排尿から2時間我慢できることを目標にしてみてください。
少しでも尿意を感じると心配でトイレへ行く、尿意を感じていないのに先にトイレを済ませておく、という習慣のある方は、我慢せず頻回に排尿してしまうことで、少しの尿でも「もう限界だから排尿が必要だ」と身体が勘違いしてしまっている可能性があります。
また膀胱周辺の筋肉を鍛えるため、お尻の穴を5秒間絞めてゆるめるというストレッチを毎日繰り返しおこなうことも有効です。

生活習慣の見直し

普段から水分を摂りすぎている方は水分摂取量や摂取する時間帯を見直してみましょう。
目安は1日に体重1kgあたり20~40ml程度です。
ただし水分摂取は人体に必要なことであり、少なすぎても排尿のトラブルにつながりますので、トイレが近くなるからと我慢せずにきちんと適量の水分を摂取しましょう。
夜間頻回にトイレへ行きたくなる方は寝る前の摂取量を控えていただくのも有効です。
またカフェインやアルコールを含有する飲料は控えるようにするとよいでしょう。

解決できない場合は……

このような方法を試しても解決できない場合、頻尿の原因が何らかの疾患である可能性があります。
トレーニング、生活習慣の見直しで解決しない場合や日常生活に大きな支障をきたしている場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。
尿に関する悩みを相談するなら「泌尿器科」への受診をおすすめします。
馴染みがなく受診しづらい、尿の相談は恥ずかしい、と感じるかもしれませんが、専門の医師は日頃からそういった悩みをたくさん聞いており、親身になって対応してもらえますので、安心してご相談いただければと思います。
また女性の方で男性の医師には相談しづらいという方は、女医がいる医療機関を受診していただくのもよいでしょう。
この機会に尿のお悩み、スッキリ解決してみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 日本泌尿器学会
・ 「こんな症状があったら – 尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」(日本泌尿器科学会)

 

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北原梨英株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

大学を卒業後、保健師として活動するほか、健康経営エキスパートアドバイザーとしてさまざまな企業様の健康経営を支援してきました。現在はセミナーのご依頼が最も多く、得意とする女性の健康増進と活躍推進をはじめ、多くのテーマでお話をしております。「従業員に長く健康に働き続けてほしい」「健康経営に取り組みたい」「健康経営優良法人の認定を目指したい」などお悩みがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。どのようなご状況の企業様にも親身に寄り添って、今すぐできることからご提案し、一緒に取り組んでいくことをお約束いたします。
【保有資格】保健師、健康経営エキスパートアドバイザー、看護師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
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