その罰金制度、違法かもしれませんよ
- 2018/8/23
- 働き方改革
社内の罰金制度
御社には「罰金」制度、ありますか。
ノルマ未達の減給、遅刻に対する貯金箱システム、社内規則違反に対する罰金など、さまざまな“罰金”制度が考えられますが、こう思ったことはないでしょうか?
「それって法律的にはOKなの?」
社内の罰金制度、どこまでが合法でどこからが違法となるのでしょうか?
原則としては違法
そもそも、労働基準法16条(賠償予定の禁止)に基づいて、罰金の規定を就業規定に定めることは原則として違法となります。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
つまり、ある一定の事象の発生について罰金額を定めることは原則として違法なのです。
罰金(減給)が可能になるケース
原則として罰金規定を定めることは禁止なのですが、以下のような条件を満たすことによって可能になるケースも存在します。
- その規定が社内秩序のための減給による制裁であって、賠償請求ではないこと
- 社内規定として社員全員に周知されていること
- 給与からの天引(減給による制裁)であって個人の財布から徴収ではないこと
また、これらの条件によらずとも、遅刻や欠勤に対しての減給規定は合法となります。
これは、ノーワークノーペイの原則(労働契約は、労働者による労務の提供と使用者による賃金の支払いの双務契約であるので、労務の提供がされなかった部分については使用者は賃金を支払う義務を負わない)に基づくものです。
減給の規定を設置する際のルール
上記の条件を満たした罰金規定を設置すれば、使用者は際限なく労働者から罰金を徴収することができるのでしょうか?
仮に減給をする際にも以下のように、金額の制限が労働基準法91条(制裁規定の制限)に基づいて存在しています。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
つまり、月に20日働く社員で、月給が20万円の労働者に対して、一度の罰金事由につき5,000円以上減給することができず、また、1ヶ月の給与から20,000円以上減給することはできないのです。
読者の皆様の会社の罰金規定は、果たして合法なものでしょうか?
なるべくなら、罰金事由が発生しなくなるような取り組みを、社内で積極的に実施していきたいですね。