歯科医師、公認心理師も実施者に~変わるストレスチェック制度~
- 2018/6/8
- ストレスチェック
会社の「年中行事」の一つとして「ストレスチェック」が定着しているところも多いのではないでしょうか。
この制度を細かく規定している「労働安全衛生規則」が一部改正され、2018年6月下旬から「実施者」に変更が生じる見込みであることはご存知ですか?
実施者に「歯科医師」「公認心理師」が追加
ストレスチェック制度における「実施者」とはそもそもなんでしょうか。
「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(通称「ストレスチェック指針」)においては下記のように記載されています。
7 ストレスチェックの実施方法等
(2)実施者の役割
実施者は、ストレスチェックの実施に当たって、当該事業場におけるストレスチェックの調査票の選定並びに当該調査票に基づくストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定基準の決定について事業者に対して専門的な見地から意見を述べるとともに、ストレスチェックの結果に基づき当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認しなければならないものとする。
つまり、高ストレス者の選定、あるいは医師による面接指導の可否の段階において誰よりも重要な役割を担っている人なのです。
そして「実施者になれる人」については、労働安全衛生法第66条の10第1項で下記のように定めが置かれています。
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第六十六条の十 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
従来の実施者
2018年5月時点では、上記にある「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者」は労働安全衛生規則第52条の10で下記のように定めが置かれています。
(検査の実施者等)
第五十二条の十 法第六十六条の十第一項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者(以下この節において「医師等」という。)とする。
一 医師
二 保健師
三 検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した看護師又は精神保健福祉士
わかりやすくいうと、従来の「実施者になれる人」は下記の4つでした。
・ 医師
・ 保健師
・ 看護師
・ 精神保健福祉士
2018年6月下旬以降の実施者
厚生労働省に設置されている「労働政策審議会安全衛生分科会」では、この実施者について2018年5月23日に審議の機会がもたれ、次の2つが追加される見通しです。
・ 歯科医師
・ 公認心理師
このうち「公認心理師」については、聞きなれない人も多いように思われますので、以下で、簡単にご説明します。
公認心理師
公認心理師とは、2017年9月施行の「公認心理師法」にもとづく国家資格です。
これまでにも臨床心理に関する資格は各種ありましたが、「国家資格」としては、日本で初めてになります。
第1回の公認心理師試験は2018年9月9日に実施が予定されており、合格発表、つまり公認心理師第1号が誕生するのは、2018年11月30日です。
晴れて公認心理師となった暁には、保健医療、福祉、教育その他の分野において、下記のことを行うことができます。
(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談および助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談および助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育および情報の提供
担当者が構える必要はない
実施者に「歯科医師」「公認心理師」が加わることとなりましたが、だからといって担当者側で新たに準備することや、業務的負担の増加といったことはなく、影響は限定的のように思われます。
なお、筆者の所属しているドクタートラストには、ストレスチェック制度についてのエキスパートも多数在籍しています。
「担当者になったばかりでわからないことがある」、「実施者をどうやって探したらいいのかわからない」などなどありましたが、お気軽にお問合せください。
<参考>
「第114回労働政策審議会安全衛生分科会」(厚生労働省)
「公認心理師」(厚生労働省)