労契法20条で労働者の不合理な格差をなくす

企業が労働者に訴えられてしまう?

近年、契約社員やアルバイトなどといった雇用期間に定めのある者に対する不合理な労働条件・待遇が、労働契約法第20条「不合理な労働条件の禁止」(以下、労契法20条とします)に違反しているとして裁判が相次いで起こっています。

これには、「責任の度合いが違うため、正社員を多少優遇しても仕方ないのでは……」と思う方も多いかもしれません。
しかし、この労契法20条が正社員と契約社員やアルバイトをまったく同じ待遇にするという決まりではありません。

今回は、労契法20条のポイントをご紹介いたします。

労働契約法20条とはどんな効力があるのか?

労契法20条とは、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止させるルールです。

(労働契約法)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

たとえば、正社員は交通費満額支給であるのに対し、契約社員は交通費1万円まで支給という企業があったとしたら……。

これは、雇用期間の有無によって契約社員が損をしてしまう場合があります。
このような相違があってはならないというのが労契法20条なのです。

しかし、基本給の差異はこれに該当しないことがほとんどです。
なぜなら正社員と契約社員では行うことができる業務の範囲が違うからです。

なにが労契法20条の違反に該当するのか?

では、どのような事柄が労契法20条違反に該当するのでしょうか。
先の項でご紹介した、交通費の差異の他にも以下のような事柄が違反に該当することがあります。

 ・ 定年後、再雇用した労働者の賃金を下げる
・ 住宅手当の差異
※ 共に業務内容が、雇用期間の有無によって差がない場合に限ります。

定年後の再雇用による賃金の低下に関しては様々な企業で行われているため、減額幅が特段大きいなどの差がない限りは、不合理性が認められないことがほとんどです。
この他でも雇用期間の有無によって不合理な差があると違反に該当してしまう可能性があります。

社員に合わせた待遇はもちろんだが、差別をしてはいけない

ここまで労働契約法が社員間で不合理な格差が生まれないようにすることが重要としていました。
そして大事なのは、労働者の仕事量や範囲、責任の度合いと待遇が見合っているかということです。

皆さまもご自身の待遇を今一度ご確認してみてはいかがでしょうか?

〈参考文献〉
・「労働契約法改正のあらまし」(厚生労働省)

 

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外山 佳季株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

大学では日本文学を専攻。教師の道を志すが、就活中に出会ったドクタートラストの健康経営に対するあり方に興味を持ち入社。今ではストレスチェックの事務に従事しており、累計5万人以上のストレスチェック実施事務を経験。実施事務で得た知識を踏まえて皆様に役立つ情報を提供します。
【保有資格】健康経営アドバイザー
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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