世界一低い日本の有給休暇取得率 改善するには?

厚生労働省の「平成28年就労条件総合調査」によると、2015年1年間の年次有給休暇の取得率は48.7%でした。
この数字をみなさんは高いと思いますか、低いと思いますか?

働き方改革が注目を集めて久しいですが、今回は有給休暇の取得率について見ていきたいと思います。

日本の有給休暇取得率は世界ワースト1位

エクスペディア・ジャパン「有給休暇国際比較調査2016」では、日本は世界28カ国でワースト1位となっています。

2014・2015年では韓国がワースト1位でしたが、日本が再びワースト1位に返り咲いてしまったのです。

参考リンク:エクスペディア・ジャパン

厚生労働省の数字と若干差異はありますが、依然として日本の取得率は低く、おそらく2017年も最下位となるのではないかと見込まれます。

有給休暇取得率を上げるために企業ができること

日本人はとかく休みを取らないといわれていますが、上位にあげられる理由として、「人手不足」「同僚が休んでいない」など職場状況に起因することが多く見受けられます。
そこで厚生労働省は、「年次有給休暇の計画的付与制度」の活用を勧めています。

「年次有給休暇の計画的付与制度」とは?

年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの分については、労使協定を結べば、計画的に有給休暇の取得を割り振れる制度です。

この制度を企業が取り入れることにより、従業員にとっては予定を立てやすく、事業主にとっては計画的な業務運営を行うことができるという双方のメリットが考えられます。

計画的付与の日数は?

年次有給休暇の付与日数のうち5日は、個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。
残りの日数を計画的付与の対象とします。

たとえば、付与日数が10日の従業員に対しては5日まで、20日の従業員に対しては15日までを計画的に付与することができます。

導入例

(1)企業または事業場全体の休業による一斉付与方式
企業、事業場を一斉に休みにできる、もしくは一斉に休みにした方が効率的な業態については、全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を与える方法が考えられます。

製造部門など、操業を止めて全従業員を休ませることのできる事業場などで活用されることが多いようです。

(2)班・グループ別の交替制付与方式
企業、事業場を一斉に休みにすることが難しい業態については、班・グループ別に交替で年次有給休暇を付与する方法が考えられます。

流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業、事業場で活用されることが多いようです。

(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
年次有給休暇を付与する日を個人別に決める方法です。

夏季、年末年始、ゴールデンウィークなどとつなげて大型連休とする方法や、誕生日や結婚記念日など従業員の個人的な記念日を優先的に充てるケースも多いようです。

政府は「2020年までに有給取得率70%」という目標を掲げていますが、そのためには従業員が有給を取得しやすい職場環境を構築することも、企業は考えていかなければならないのかもしれません。

「年次有給休暇の計画的付与制度」などを活用し、有給取得率も上げて、日本の取得率ワースト1位という状況が好転することを望みます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

檜森 哲株式会社ドクタートラスト

投稿者プロフィール

総務・経理業務の経験から、企業の労働環境を向上できるような記事やトピックをお伝えしていきます。また、昨今の働き方改革に伴う業務効率化についても積極的に情報を発信していきたいと思います。
【保有資格】第一種衛生管理者
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】2022年6月施行「改正公益通報者保護法」を専門家がわかりやすく解説!退職者や役員も保護対象になる⁉

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る