命を脅かすこともある心臓の病気。
心筋梗塞や狭心症など、代表的な心臓病の多くは70歳代で発症することが多いため、高齢者の病気というイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、近年、50歳前後の女性に起こりやすい特有の心臓病があることが知られてきています。
まだ認知度が低く、検査を受けても見つかりにくい「新しい心臓病」とは?
こんな症状に心当たりはありませんか?
・就寝中・仕事中・テレビ鑑賞中など、安静時に症状がある。
・広い範囲で胸が痛む。
・時には胸だけでなく、背中やあご・みぞおちなどが痛む。
・吐き気や胃の不快感がある。
・症状が5分から半日続く。
・更年期の症状がある。
・頭痛や冷え性がある。
・・・いかがでしたでしょうか。
心臓病=胸の痛みというイメージがありますが、吐き気や胃の不快感など、一見心臓とは関連のなさそうな場所に症状が現れることもあります。
これらの症状を引き起こす心臓病を、「微小血管狭心症」と呼びます。
上記のような症状が、年に数回~数十回、何年にも渡って続くケースが多いようです。
微小血管狭心症は、2010年に治療ガイドラインに取り入れられた、比較的新しい病気です。
原因は女性ホルモンの減少
それでは、微小血管狭心症の原因とは何でしょうか?
女性にとって、50歳前後は心身の大きな変わり目となります。
その代表的なものが更年期障害です。
更年期になると、体の中の女性ホルモンが減っていきます。
女性ホルモンには、血管を広げる役割があるため、女性ホルモンが減ると血管が縮こまりやすくなります。
手足の血管が縮まれば「冷え」を感じます。
同様に、心臓の細い血管が縮まることで、心臓への血流が減り、微小血管狭心症が起こってしまうのです。
更年期障害の頭痛や冷えを感じている人が、安静時の胸の痛みや息苦しさなどの症状を感じていたら、この病気の可能性も十分考えられます。
健康診断で異常がみつからないケースも
この微小血管狭心症は、健康診断だけでなく、心臓カテーテル検査という専門の検査を受けても見つかりにくい病気です。
そのため、自覚症状を訴えても、「気のせい」「原因不明」と長期間治療を受けずにいるケースがあります。
微小血管狭心症は、すぐに心臓が止まってしまうような恐ろしい病気ではありません。
しかし、原因がわからない胸の痛みや息苦しさなどの症状が続くというのは、ご本人にしてみたら非常に大きな問題です。
微小血管狭心症であれば、細い血管を広げるお薬を飲むことで、短期間で症状が改善します。
ご自身だけでなく、職場の同僚や母親世代の方に上記のような症状を訴える人がいたら、ぜひ専門医を探して受診するように勧めてみてください。