9月は健康増進普及月間~今日からできる「食べる・動く・眠る」の習慣化~

厚生労働省では、毎年9月を「健康増進普及月間」「食生活改善普及運動月間」と定め、食生活や運動などの生活習慣を見直すことを呼びかけています。
「何から始めればいいかわからない」という方も多いかもしれませんが、健康づくりは特別なことではありません。
毎日の小さな習慣の積み重ねが、将来の健康につながります。
9月を、食事・運動・睡眠・禁煙など、生活習慣を見直すきっかけになる月にしていただけたらと思います。
今回のコラムでは、毎日の暮らしの中で取り入れやすい健康づくりのポイントをわかりやすく解説します。
読んでくださっている皆さまご自身はもちろん、身近な人とも一緒に取り組んでいただき、9月をより健康で元気に過ごしていただけたらうれしいです。

健康習慣の積み重ねが、寿命を延ばします

日本人約6万人を14.5年にわたり追跡した研究(※1)では、健康的な生活習慣を多く実践している人ほど寿命が長く、以下の健康習慣を6つすべて実践していた人は、0~2つしか実施してない人とくらべて、男性で約10年、女性で約8年寿命が長いことが報告されています。
健康習慣として評価されたのは、次の6項目です。

・ 現在喫煙していない
・ 過度の飲酒をしていない
・ 1日1時間以上歩く
・ 1日6.5~7.4時間の睡眠をとる
・ ほぼ毎日緑黄色野菜を食べる
・ BMI18.5~24.9を維持している

すべてを一度に始める必要はありません。
まずは自分にできそうなことを一つ選び、継続することが健康への第一歩です。

「食べる・動く・眠る」を整えて健康の土台をつくろう

食事

日本人を対象とした研究(※2)では、食物繊維を多く摂取している人は、少ない人とくらべて死亡リスクが男性で23%、女性で18%低いことが示されています。
食物繊維には腸内環境を整えるだけでなく、血糖値の急上昇を抑える、LDLコレステロールを減少させる働きも期待されています。

一方で、日本人は食物繊維が不足しやすいことが課題となっています。
特に、朝食を食べない人、野菜・きのこ・海藻・豆類をあまり食べない人、白米や麺類だけで食事を済ませることが多い人、外食やコンビニ食が中心の人は不足しやすい傾向があります。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(※3)では、1日あたりの食物繊維の目標量は以下のように設定されています。
しかし、実際の摂取量は目標に届いていない人が少なくありません。

年齢男性女性
18~29歳20g以上18g以上
30~49歳22g以上18g以上
50~64歳22g以上18g以上
65~74歳21g以上18g以上
75歳以上20g以上17g以上

まずは無理なく続けられることから始めてみましょう。

9月にチャレンジしたいこと
□ 朝食を週に1日多く食べる
□ 朝食に納豆や野菜を1品追加する
□ 白米をもち麦ご飯に置き換える
□ きのこや海藻を毎日1品取り入れる
□ 間食を果物や無塩ナッツにしてみる
□ 豆腐・納豆・枝豆などの大豆食品を毎日1品食べる

運動

運動は生活習慣病予防だけでなく、心身の健康維持にも欠かせません。
息が弾む程度の運動を週60分以上続けている人は、生活習慣病や死亡のリスクが約10%低いことが報告されています。(※4)
まずは1日8,000歩程度の歩行を目標にし、それに加えて週60分の運動を取り入れてみましょう。
60分を一度に行う必要はなく、「10分×6回」「15分×4回」など小分けでも十分効果が期待できます。

さらに、健康増進のために厚生労働省が定めた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」(※5)では、週2~3日程度の筋力トレーニングも推奨されています。
筋肉量の維持は、将来の転倒予防や基礎代謝の維持にもつながります。

9月にチャレンジしたいこと
□テレビを見ながらスクワット10回を3セット
□階段を積極的に利用する
□コマーシャルの間に室内で踏み台昇降を行う
□ラジオ体操やストレッチを毎日続ける
□家事を少し大きな動きで行う

まだ暑さが残る時期でもあるため、無理をせず室内でできる運動から始めるのもおすすめです。

睡眠

睡眠は体と心を回復させる大切な時間です。睡眠不足や睡眠の質の低下は、生活習慣病のリスクにも影響します。
睡眠時間が6時間未満の人や睡眠状態が良くない人では、以下の報告がされています。(※6)

・死亡リスク 1.12倍
・2型糖尿病 1.37倍
・高血圧 1.17倍
・肥満 1.38倍

必要な睡眠時間には個人差もありますが、まずは6時間以上確保することを基本に十分な睡眠時間を確保するために睡眠の質を高める工夫も大切です。

9月にチャレンジしたいこと
□就寝時間を30分早めてみる
□寝る1時間前からスマートフォンの使用を控える
□夕方以降のカフェインを控える
□ぬるめのお風呂にゆっくり入る
□朝起きたら太陽の光を浴びる

禁煙は自分だけでなく、大切な人の健康も守ります

喫煙はさまざまな病気のリスクを高めることが知られています。喫煙者は非喫煙者とくらべて寿命が短く、男性では約13年、女性では約12年短いと報告されています。(※7)
一方で、禁煙は何歳から始めても健康へのメリットがあります。
40歳未満で禁煙すると約12年、40~49歳では約6年、50~59歳でも約2.5年の寿命延長との関連が報告されています。(※7)

また、禁煙は一度で成功するとは限りません。禁煙に成功するまでに平均30回程度の禁煙チャレンジが必要と推定した研究もあります。
一度うまくいかなかったとしても、その経験が次の成功につながります。(※8)
※ 研究の一例です。禁煙成功までに必要な回数は人それぞれで、研究によっても結果は異なります

たばこを吸わない方も、家族や同僚など身近な人の禁煙を応援することは、受動喫煙を減らし、多くの人の健康づくりにつながる大切な行動です。

喫煙者の方へ
□禁煙外来を予約する
□吸う時間や場所を決めて「なんとなく吸い」を減らす
□吸いたくなった時の対処法を3つ準備する

非喫煙者の方へ
□禁煙に挑戦する人を励ます
□吸いたくなった時の気分転換に付き合う
□禁煙に失敗しても、責めずに応援する

9月は健康増進普及月間です。
すべてを完璧に行う必要はありません。
野菜のおかずを1品プラスする、10分歩く、少し早く寝る、禁煙に挑戦する人を応援するなど、小さな一歩が未来の健康につながります。
この機会に、「今の自分にできること」からチャレンジしてみませんか。

<参考>
※1:Tamakoshi A、Kawado M、Ozasa K、Tamakoshi K、Lin Y、Yagyu K、Kikuchi S、Hashimoto S「Impact of Smoking and Other Lifestyle Factors on Life Expectancy among Japanese: Findings from the Japan Collaborative Cohort (JACC)Study」(『Journal of Epidemiology』2010年20巻5号370~376頁)
※2:Katagiri R、Goto A、Sawada N、Yamaji T、Iwasaki M、Noda M、Iso H、Tsugane S「Dietary fiber intake and total and cause-specific mortality: the Japan Public Health Center-based prospective study」(『The American Journal of Clinical Nutrition』2020年111巻5号1027~1035頁)
※3:厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」
※4:丸藤祐子、川上諒子「プラス・テンのエビデンス補強のための文献レビュー」(『最新研究のレビューに基づく「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「身体活動指針(アクティブガイド)」改定案と新たな基準及び指針案の作成 令和3年度 総括・分担研究報告書(Web)(厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(Web))』2022年17~19頁)
※5:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
※6:Itani O、Jike M、Watanabe N、Kaneita Y「Short sleep duration and health outcomes: a systematic review, meta-analysis, and meta-regression」(『Sleep Medicine』2017年32巻246~256頁)
※7:Cho ER、Brown P、Brill I、Gram I、Jha P、Tang X「Smoking Cessation and Short- and Longer-Term Mortality」(『NEJM Evidence』2024年3巻3号EVIDoa2300272)
※8:Chaiton M、Diemert L、Cohen JE、Bondy SJ、Selby P、Philipneri A、Schwartz R「Estimating the number of quit attempts it takes to quit smoking successfully in a longitudinal cohort of smokers」(『BMJ Open』2016年6巻6号e011045)

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宮野 友里加株式会社ドクタートラスト 管理栄養士

投稿者プロフィール

実家の日本茶専門店と兼業しながら年間100人以上の特定保健指導、ダイエットサポートを食事面、運動面から行う管理栄養士。
食事に関するアドバイスはもちろん、自分自身がデスクワークを始めてから悩まされている「肩こり・腰痛」「目の疲れ」の予防、改善方法についてもセミナーや執筆活動を通して積極的に情報提供している。
目標は「働く世代の方々にとってが管理栄養士が身近な存在になること」
【保有資格】管理栄養士
【より詳細なプロフィールはこちら】
【ドクタートラストの特定保健指導サービス詳細はこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

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