健康経営優良法人2026とは?申請方法と銘柄との違いを解説
- 2025/9/22
- 健康経営

今年度も2025年8月18日より、「健康経営銘柄2026」および「健康経営優良法人2026」の申請受付が始まりました。
健康経営に力を入れている企業の担当者は興味のある方も多いのではないでしょうか。
今回は「健康経営銘柄」および「健康経営優良法人」についてご説明したいと思います。
そもそも健康経営銘柄とは?
健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で従業員の健康管理を会社の経営戦略の一部として積極的に実践している上場企業を毎年選定し、その取り組み内容を評価・紹介する制度です。
企業は「健康経営」が自社の理念や方針にしっかり位置づけられているか、健康づくりのための組織体制や制度が整っているか、実際に施策が実行され効果が見られるか、取り組みの評価・改善がされているか、法令を遵守しているかといった点で評価されます。
この制度を通じて企業には働きやすい職場づくりや従業員の活力・生産性の向上が期待され、投資家にとっても長期的に企業価値の高い魅力的な企業として紹介されることにより、健康経営の普及と企業価値の向上が目指されています。
健康経営優良法人とは?
健康経営優良法人とは、経済産業省と日本健康会議が共同で、従業員の健康管理や職場環境づくりに積極的に取り組み、健康経営を実践している企業や法人を認定する制度です。
企業の規模に応じて「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分けられ、経営理念に基づいて健康づくりを経営戦略として取り入れているか、健康課題の把握と目標設定がされているか、組織的な推進体制が整っているか、具体的な健康増進施策が実施されているか、そして法令遵守がなされているかなどの観点から評価されます。
地域や社会において従業員の健康を大切にする優良な企業として知られることで、企業のイメージ向上や人材確保、従業員の働きがい向上などにつながることを目的とした認定制度です。
健康経営銘柄と健康経営優良法人の違いは?
健康経営銘柄と健康経営優良法人は、どちらも従業員の健康を重視し、戦略的に健康づくりに取り組む企業や団体を評価する制度ですが、それぞれの目的、対象、運営主体、評価の視点などに違いがあります。
健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で、東京証券取引所に上場している企業の中から、健康経営に特に優れた取り組みを行っている企業を毎年選定する制度です。
企業価値の向上を重視する投資家に向けて、財政的な指標に加え人的資本や健康経営の観点からも優れた企業として紹介し、投資先としての魅力を高めるとともに、企業にとっても評価の向上や信頼確保、さらには従業員のモチベーション向上を目的としています。
一方、健康経営優良法人は、経済産業省と日本健康会議が共同で運営しており、上場・非上場を問わず、全国の企業や医療法人、社会福祉法人などの幅広い法人を対象としています。
地域社会の中で従業員の健康保持・増進に積極的に取り組む優良な法人を「見える化」して、企業イメージの向上や地域における健康経営の普及・促進を図ることが目的です。
その評価は企業規模別に「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分かれ、組織の構築、健康課題の把握と改善、施策の実行と成果の確認、法令遵守など多角的な視点で行われ、特に中小企業においては地域とのつながりや働き方改革の観点からの評価も重視される点が特徴です。
このように両者は、共に健康経営の推進を目指す制度でありながら、健康経営銘柄は投資家への情報発信と市場評価を重視した上場企業向けの制度であり、健康経営優良法人はより広い法人を対象とし、地域社会や働き手にとっての「健康経営のモデル企業」を明確にすることを目的とした制度であるという点において違いがあります。
取得方法と2026年度の改訂ポイント
「健康経営銘柄」および「健康経営優良法人」の基本的な取得方法について説明します。
① 健康経営を推進するための社内体制をつくります。大規模法人の場合には、部門にまたがった推進体制が求められます。
② 健康診断の実施状況やストレスチェックの実施など、従業員の健康に関する取り組み状況を整理します。
③ 申請書作成と証拠資料の準備をします。「従業員の健康に関する取り組みについての調査」(健康経営度調査)に回答し、申請書を作成します。大規模法人の場合は、健康経営度調査への回答が必要になってきます。
④ 申請提出と費用の納付をします。作成した申請書と証拠資料を提出し、認定申請料をおさめます。
ちなみに、2026年度の改訂は以下のポイントです。
①健康経営推進方針と目標、KGI、KPIの定義の整理
・昨年度、健康経営優良法人認定事務局編として改訂した健康経営ガイドブックに基づき、同ガイドブックで定義した健康経営推進方針と⽬標、KGI、KPIの整理に沿い、設問と選択肢を改訂
・KGI(企業全体の⽬標)への検証に対し、誰が関与しているかが重要であるという観点から、設問を追加。併せて、具体的に何を改善したかを確認できるように修正
②健康経営の理解促進に関する取組
・ 経営トップ⾃らによる理解促進に関し、健康経営の推進方針やKGI、KPIの進捗など、どのような内容まで経営トップ⾃らが発信しているかを具体的に確認できるよう選択肢を修正
③経営レベルの会議での健康経営の議題化
・取締役会での決議事項が企業により異なることなどを踏まえ、健康経営の推進方針を議論している会議体を確認する設問を追記し、そのうえで、具体的な決定事項、報告事項を確認
④ 組織全体に影響する効果検証
・組織全体に影響する効果検証 • 健康経営ガイドブックにおいて企業の健康風土醸成に関する内容を記載したことを踏まえ、組織全体に影響する効果検証として設問を新設(中小はブライト500設問に追加)
⑤管理職、従業員への教育(性差や年齢に配慮した職場づくり)
・ 認定要件の評価項⽬「性差・年齢に配慮した職場づくり」の新設と併せ、管理職・従業員への教育内容として、性差や年齢に配慮した職場づくりに関連する選択肢を追加
・女性の健康に関する教育内容については、内容を確認できるよう修正
⑥ 従業員がPHRを活用できる環境整備
・PHRを活用できる環境整備 • PHR集計データの活用方法を問う設問に修正
⑦ 仕事と介護の両立支援
・仕事と介護の両立支援 • 2024年5月に改正された育児・介護休業法を踏まえ、選択肢を修正
・ 介護に関する制度の利用状況を確認する設問を追加
⑧ 仕事と治療の両立支援
・厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を踏まえ、選択肢を修正
⑨プレコンセプションケアの認知と取組状況
・プレコンセプションケアについての説明として、企業において取組む意義を追加し、具体的に企業で実施している取り組み内容を確認できるようアンケート設問・選択肢を修正
・中小規模法人については、認知を問うアンケートを新設
⑩多様な働き方をする労働者への健康経営の広がり
・個人事業者等に対する健康経営のあり方を検討するため、個人事業者等に対する健康支援の状況を問うアンケートを新設
2026年度のスケジュール
令和7年度健康経営度調査回答期間
2025年8月18日(月曜日)から2025年10月10日(金曜日)17時
健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)認定申請期間
2025年8月18日(月曜日)から2025年10月17日(金曜日)17時
選定・認定時期
2026年3月頃(予定)
違いを正しく知って、自社にあった制度を取り入れ、健康経営を推進してきましょう。