オンライン無料座談会「皆で一緒に考えよう!職場巡視から見えてくる防災対策」開催レポート

「産業保健新聞」読者の皆さまこんにちは。
ドクタートラストセミナー事務局です。
今回は、9月6日に開催したオンライン座談会「皆で一緒に考えよう!職場巡視から見えてくる防災対策」の内容をレポートします。

1923年に発生した関東大震災から、今年で100年が経ちました。
日本は言わずと知れた地震大国であると同時に、台風などの風水害によっても甚大な被害を受けることが多くあります。
そんな日本ですが、企業には労働契約法第5条にもあるように、労働者の安全へ配慮する義務があります。
これは、自然災害下でも例外ではありません。

本座談会ではドクタートラスト所属の佐藤せな保健師、大場ひろこ保健師が講師役を務め、前半では職場巡視をするうえでの確認ポイントや災害対策について解説、後半は事前にいただいた質問の解説や実際にどのように対応しているかなどの意見交換会を座談会形式で行いました。

今回の座談会はさまざまな業種の方にご参加いただいており、企業での防災について考えるうえでたくさんのご経験や悩みもご共有いただくことができました

開催概要

座談会名称:「皆で一緒に考えよう!職場巡視から見えてくる防災対策」
日時:2023年9月6日(水)15時~16時
会場:ZOOMを使ったオンライン開催

講師プロフィール

佐藤 せな
株式会社ドクタートラスト 保健師
看護師として病院で救急看護や慢性期看護などを広く経験するなかで、思わぬ病気により、過去の生活を後悔する患者さんを数多く目にすることで、病気の予防に強く関心を抱く。
ドクタートラストに参画後は、働く人の病気の予防に貢献するため、健康診断後の保健指導などを実施。また、実際の病気のありようや経過、患者さんの気持ちの変化など、看護の現場にいたからこその知見を活かした健康セミナーなども行っている。
【保有資格】看護師、保健師
大場 ひろこ
株式会社ドクタートラスト 保健師
助産師として医療機関勤務後、長らく学校保健現場に携わってきました。幅広い年代の方々と関わる中で、働く人々の健康が周囲にもたらすしあわせの輪を広げたいと感じ、現在は産業保健領域で活動中。具体的には、特定保健指導、企業に訪問しての健診判定や救急対応、カウンセリング、アンリ相談員、セミナーなど幅広い業務に携わっています。得意分野は「女性の健康」です。
【保有資格】保健師、助産師、看護師、養護教諭専修、第一種衛生管理者、受胎調節実地指導員、公衆衛生士、女性の健康経営推進員、人間ドック健診情報管理指導士

座談会内容

前半の衛生委員会ハンドブック資料の解説動画では、企業が担う従業員への「安全配慮義務」と、自然災害の中でも特に予兆なく起こり、甚大な被害を出すことの多い地震を想定した職場巡視確認ポイントについて解説しました。
その一部をご紹介します。

地震発生時には、まずその場ですぐに従業員自身が命を守れるような職場環境ができているかを確認します。
基本的な整理整頓ができていないと、普段使用している機材などでケガをしたり、避難を遅らせる原因となったります。
またドクタートラストでも行っていることですが、従業員は入社後すぐにヘルメットを支給され、各自デスクに置いて緊急時に頭を守れるようにしている企業もあります。
衛生管理者による職場巡視は1週間に1回の実施が労働安全衛生法で義務づけられていますが、衛生管理者の選任義務のない従業員数50名未満の企業であっても、日頃から職場の安全状況を確認・改善させることが重要です。

実際に、どのような災害対策をしているか?

後半は2つのグループに分かれて、佐藤保健師と大場保健師が各グループのファシリテーターとなり、皆さんと座談会を行いました。
企業の総務人事や衛生管理者の方などが比較的多く参加されました。
また今回ご参加の目的として、在宅と出社のハイブリットワーキングを取り入れている企業での災害対策の参考にしたいという方や、今は最低限の法令順守としての対策だが、今後はより充実させるためという方もいました。
中には、衛生委員会での議題として「防災」を考えるうえでの参考にしたい、という方もいました。

座談のはじめには、皆さんがどんな自然災害を最も警戒しているのかをお伺いしました。
“地震”とお答えの方が多いなか、“台風”と回答される方も数名いました。
職場はビルの中にあるものの、地域に大きな川が近くにあったり、過去に水害に遭ったりしことがある等のことからだそうです。
また、過去の大きな地震発生時に仕事をしていた方からは、実体験を伺うこと場面もありました。
地震発生直後~数時間は「モニターが倒れた」「ケガなどの被害はなかったが、帰宅困難になりかなりのストレスを感じた」、その後は「他の支店への支援物資を社用車で運んだ」「停電が続き、コンビニレジはすべて手作業となった」などのお話をご共有いただけました。

座談会が進む中で、参加者同士の質問と回答、情報共有も活発に行われました。

質問(参加者A)「安否確認の連絡は、一度だけ送っていますか?」
回答(参加者B)「本部からは一度だけです。回答のタイムリミットを設定しており、それを過ぎたら管理職(当該従業員の上司など)に継続的に安否確認をしてもらいます」

質問(参加者C)「防災に関して、企業で何かシステムを利用していますか?」
回答(参加者D)「○○社の安否確認アプリを使っています」
回答(参加者D’)「うちは、□□社のMAPアプリを使って、全従業員の安全な避難経路を確認しています」

さらに、以下のようなやり取りも聞かれました。

質問(参加者E)「帰宅困難セットの用意はしていますか?」
回答(参加者F)「していません。…帰宅困難セットとは?」

皆さんでいろんな商品を検索して、「値段の幅もいろいろとあるんですね」というような和気あいあいとした会話もありました。

参加者の反応

座談会終了後に開催したアンケートでは、参加者の方々からご意見やご感想が寄せられました。

・異業種他社さまの取り組み内容をお聞き出来て参考になりました。
・弊社の遅れを痛感し反省することしきりですが、実務を担当されている方の実際のお話をうかがえてとても参考になりました。
・少数で座談会があり、話を振っていただけたので、話しやすかったです。

さいごに

今回の座談会では、普段お一人で総務のことをご担当され相談できずに苦慮されている方や、過去に色々なご経験や知識をお持ちの方などが参加されました。
しかし、どなたかが一方的に知識をもらうようなことはなく、双方での情報交換が行われると同時に、現在の防災対策に足りないものが明確になる場面もあったようです。
ご参加された皆さんの積極的な意見交換により、非常に盛り上がる座談会になりました。
心よりお礼申し上げます。

第1水曜日に開催中!無料のオンライン座談会

ドクタートラストでは、毎月第1水曜日に無料のオンライン座談会を開催しています。
会社の人事担当者、衛生管理者、産業保健スタッフの方であれば、どなたでも参加いただけます。
詳細は、以下リンクよりご覧ください!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

佐藤 せな株式会社ドクタートラスト 保健師

投稿者プロフィール

看護師として病院で救急看護や慢性期看護などを広く経験するなかで、思わぬ病気により、過去の生活を後悔する患者さんを数多く目にすることで、病気の予防に強く関心を抱く。
ドクタートラストに参画後は、働く人の病気の予防に貢献するため、健康診断後の保健指導などを実施。また、実際の病気のありようや経過、患者さんの気持ちの変化など、看護の現場にいたからこその知見を活かした健康セミナーなども行っている。
【保有資格】看護師、保健師
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼、リリース送付などはこちらからお願いします】

この著者の最新の記事

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】2022年6月施行「改正公益通報者保護法」を専門家がわかりやすく解説!退職者や役員も保護対象になる⁉

一目置かれる健康知識

  1. 【保育士が直伝】慣らし保育を早く終える子は、登園時の保護者の行動が違う!
ページ上部へ戻る