シフト融通が仕事満足度向上に大きく影響!「令和3年版労働経済の分析」結果発表

シフト融通が仕事満足度向上に大きく影響!「令和3年版労働経済の分析」結果発表

厚生労働省が「令和3年版労働経済の分析-新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響-」の動画版を発表しました。

本動画では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による雇用への影響、感染拡大下でも業務継続が不可欠な医療・介護などの分野で働く方々の状況、テレワークに関する課題などが取り扱われています。
今回はこのうち、①働く人たちの負担、②テレワークの継続状況、③仕事満足度の変化をわかりやすく解説します。

コロナによる「肉体的・精神的な負担」は医療、社会保険・社会福祉・介護の業種で増加

まず、新型コロナウイルスが流行し緊急事態宣言が発令されてからの働く人たちの肉体的・精神的な負担は2020年4~5月に上昇しました。
業種別にみると、特に「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」で肉体的、精神的な負担が大きいと感じる労働者が増えました。
また「小売業(生活必需物資等)」でも精神的な負担が大きいと感じる労働者が増えています。

コロナ前からテレワークしている企業のほうが継続割合は高い

2020年には、感染拡大を受けてテレワークによる働き方が急速に普及し、2020年4~5月の緊急事態宣言下では実施割合が大きく高まりました。
高速な通信を可能とするインフラの整備やデータのクラウド化、また数十年前には高価であったハイスペックPCの低価格化、また国や都からの補助金制度もテレワークを後押しした結果と言えるでしょう。
しかし、宣言解除後にテレワークを実施しなくなった企業や労働者は一定割合存在します。
テレワークと業務の相性や、通信環境などのテレワーク時の設備不足などが原因と考えられますが、以下のように、新型コロナウイルス流行前(2021年1月以前)からテレワーク活用経験がある企業にくらべ、新型コロナウイルス流行開始期(2021年2月~5月)にテレワークをスタートした企業の継続割合は低いと判明しました。

<テレワーク継続割合>
新型コロナウイルス流行前(2021年1月以前)からテレワーク活用経験がある企業:90.4%
新型コロナウイルス流行開始期(2021年2~5月)にテレワークをスタートした企業:71.7%

コロナによる影響で仕事の満足度はどう変わったのか

肉体的・精神的な負担が増加している背景の中、仕事に対する満足度はどう変わったのでしょうか。
また断続的なテレワークの実施を、働く人達はどう感じていたのでしょうか。
「仕事を通じた満足度」の上昇は「業種別ガイドラインの遵守」「従業員の体制増強」「希望に応じたシフトの融通」が勤務先で継続的に実施されているかどうかを関係していることがわかりました。

特に「シフトの融通」で満足度の差分が大きく、会社の理解を示す姿勢や社員のワークライフバランスを尊重したい気持ちが反映されているように見受けられます。
また、テレワークを行うにあたり、以下が労働者の満足度に直接反映されている結果となりました。

・ 業務範囲・期限の明確性:日々業務を進めるうえで、担当する業務の範囲や期限は上司などから明確に伝えられている
・ 業務の裁量性:業務内容について上司が逐一細かく指示をするのではなく仕事を進める上での裁量がある
・ 評価基準の明確性:達成すべき目標の水準など、仕事(成果)の評価基準が明確に定められている
・ 環境整備:テレワーク時の設備(インターネット環境やテレワークで利用するPCの性能等)は充実している

人事的な制度の充実やガイドラインの遵守など感染拡大時でも社員が業務を継続できる施策を取る姿勢を見せることや、業務の裁量、範囲や評価基準の明確化、また労働者の環境を整備することにより、満足度が上がることがよくわかるでしょう。
緊急事態の中でも、業務にも社員にも寄り添うような施策を行えば、ワークエンゲージメントが高まり、生産性も高まることが期待されますね。

<参考>
厚生労働省「動画版「令和3年版 労働経済の分析」を公表します」

 

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杉井 将紘株式会社ドクタートラスト 常務取締役

投稿者プロフィール

IT企業に長年従事。その際の労働環境が整備されておらず、訴えても変わらない状況から健康管理会社のドクタートラストへ転職を決意。
畑違いの業界に戸惑いつつも、ITの力を駆使して産業保健業界に一石を投じるべく日々奮闘。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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