これまで大企業が施行となっていた時間外労働の上限規制が2020年4月1日より、中小企業でも適用されました。(中小企業はこれまで猶予期間とされていました)
時代の流れもあり、多くの企業で時間外労働の削減などに力を入れています。
ですが、業種や会社によっては過労死という悲しい労働災害で出てしまうこともまだまだあります。
時間外労働の上限規制について、定めを把握し、「企業での管理」と「自身の健康を守るための管理」の両側面から考えていきましょう。
なぜ時間外労働の上限規制規制が必要なのか
厚生労働省から時間外労働の上限規制の考え方として以下のように公表されました。
長時間労働は、健康の確保を困難にするとともに、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっています。
長時間労働を是正することによって、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結びつきます。
このため、今般の働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。出所:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
時間外労働の定め
時間外労働の上限は原則として以下2点を守らなくてはいけません。
① 上限は月に45時間、年360時間で、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。
② 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働は年間720時間以内におさめなければならず、時間外労働と休日労働の合わせた時間数が月に100時間未満で2~6ヶ月平均が80時間以内とする必要があります。
残業時間削減への取り組み
多くの企業で時間外労働を減らす取り組みを実践していますが、なかなかうまくいかず結果的に時間外労働の削減ができないばかりではなく、時間外労働をしてはいけない社風になり、仕事を家庭に持ち込んでしまうケースもあります。
多くの企業での取り組みについて参考事例をあげます。
(1) ノー残業デーやノー残業ウィークの設置
(2) 残業を事前に承認する制度の実施
(3) 時間管理が評価される制度の導入
(4) 業務プロセスの見直し(業務内容ごとの振り分けと平準化)
(5) システムの導入
これらの内容は一般的なものではありますが、非常に有効な効果をもたらし、時間外労働の削減に効果があります
しかし重要なのは、いわいる「サービス残業」を生み出さないことです。
管理職が残業の状況を把握することや率先して残業時間の削減を呼びかけ、自宅に持ち込まない環境を作らなくてはなりません。
「産業保健新聞」を運営するドクタートラストでは、時間外労働について上長に事前申請を行っています。
その上でその残業は本当に必要なものなのかの判断や、業務量が偏っている場合には平準化を行っています。
また、営業に特化したチームや事務に特化した部署など、業務内容に沿った組織改編を行うことで時間外労働を減らし、お客様への対応時間を増やせるよう取り組んでいます。
中小企業の皆さんも、今回の義務化に伴い、従業員の働きがいに注目し、組織改編を行ってみませんか。