介護労働者の働き方改革!中小企業でもパートタイム・有期雇用労働法が2021年4月1日から施行
- 2021/3/25
- 働き方改革
2020年9月20日に総務省が「統計からみた我が国の高齢者」を発表しました。
現在、日本における高齢者人口は3,617万人。
総人口に占める割合は28.7%となり、過去最高の数値です。
これは、世界においても高い数値であり、主要各国は、23.3%のイタリア、21.7%ドイツ、20.8%フランス、18.7%イギリスと欧州が日本に続いています。
今回は、こうした日本社会を支える介護労働者の働き方改革をみていきます。
今後の日本では介護労働者の増加および、介護関係業務に従事する労働者や社会福祉施設の増加が予想されます。
現在の介護業界の課題と離職率
要介護者は増加の一途をたどっている一方、、介護関係業務従事者の離職率は決して低くはない状態です。
人手不足な業界であるにもかかわらず離職率が改善されないと、現職の職員に負荷がかかるという悪循環に陥っています。
労働条件等の悩み・不安・不満等
・ 人手が足りない:53%
・ 仕事内容の割に賃金が低い:39.6%
・ 有給休暇が取りにくい:36.2%
・ 身体的負担が大きい:29.9%
・ 精神的にきつい:26.7%
・ 業務に対する社会的評価が低い:26.4%
・ 休暇が取りにくい:24.5%
介護の仕事を辞めた理由
・職場の人間関係に問題があったため:20.0%
・結婚・出産・妊娠・育児のため:18.3%
・法人や施設・事務所の理念や運営のあり方に不満があったため:17.8%
・他に良い仕事・職場があったため:16.3%
・収入が少なかったため:15.0%
・新しい資格を取ったから:11.5%
出所:公益財団法人介護労働安定センター「平成29年度介護労働実態調査」
介護労働者の労働条件の確保・改善
令和元年度の介護労働者の就業形態は、正規職員が55.9%、非正規職員が43.7%です。
介護業界における正規職員の割合は、年々上昇傾向にありますが、未だ約半数がパートタイム・有期雇用労働者に頼っています。(出所:公益財団法人介護労働安定センター「令和元年度介護労働実態調査」)
こうしが介護業界の非正規職員も含め、労働者の格差をなくし、離職率を軽減させることを目的としたパートタイム・有期雇用労働法が2020年4月1日より施行されています。
※中小企業においては1年間の猶予期間が設けられており、2021年の4月1日適用されます。
パートタイム・有期雇用労働法のポイント
・ 基本給や賞与の待遇差を設けることの禁止
・ 「正社員との待遇差の内容や理由」説明の義務化(非正社員は事業主に説明を求めることができ、事業主は説明義務が生じます)
・ 行政による事業主への助言・指導等や、裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備(「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」も行政ADRの対象です)
※行政ADR:事業主と労働者間の紛争を裁判を行わずに解決する手続き
事業主への支援・相談窓口の活用
また、厚生労働省では、介護労働者を使用する事業場・事業主に向けの相談窓口を設けており、以下について相談することができます。
・ 介護同労者の雇用管理
・ 労務管理や安全衛生に係る基本的な知識
・ 介護福祉機器の導入や雇用管理制度の整備
・ 介護用リフトの導入など、職場環境の改善
その他、介護労働者を使用する事業場への支援策は厚生労働省のホームページにて確認しましょう。
これからの日本で、介護業界の需要は増えこそすれ、衰えることはないと予想されます。
今いる人材の離職率を減らすためにも、環境の改善・格差の解消は急務であり、すでに業界全体で積極的な取り組みが始まっています。
現在の就業規則やガイドラインの見直しを行う際には、厚生労働省の公表しているパンフレットを活用ください。
<参考>
・ 厚生労働省「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」
・ 厚生労働省「パートタイム労働者、有期雇用労働者の雇用管理の改善のために」