日本人の食事摂取基準が2020年4月より変わります!気になるナトリウムの目標量
- 2020/3/16
- 食事
厚生労働省で策定される「日本人の食事摂取基準」は、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のための、エネルギーおよび栄養素の摂取量の基準を示すものです。
わかりやすくいうと、日本人が、健康や成長のために、何をどれだけ食べればいいのかを示しています。
そしてこの食事摂取基準は5年ごとに改正されます。
今回は、2020年4月から使用される新しい食料摂取基準のうち「ナトリウム」に着目します。
改定では、ナトリウム(食塩相当量)について、成人の目標量を2015年版から0.5 g/日引き下げ、男性7.5g未満、女性6.5g未満としました。
また、高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための目標量は、男女ともに、6g/日未満と設定しました。
この基準は、実際の摂取量と比較してどのくらい差があるのでしょうか?
日本人は、塩分をとりすぎている?
2020年1月14日に公表された「2018年国民健康・栄養調査結果」によると、日本人の食塩摂取量の平均は、男性11g、女性9.3gです。
10年間でみると減少しているものの、今回設定された目標値と大きくかけ離れています。
世界保健機関(WHO)では、すべての成人の減塩目標を5gとしており、欧米のいくつかの国では、高血圧の方だけでなくすべての人に6g未満を推奨しています。
塩分の取りすぎはなぜ悪い?
皆さんもご存じのように、食塩の取りすぎは、高血圧を引き起こします。
高血圧が続くと、血管に大きく負担がかかり、動脈硬化を引き起こし、その結果、脳血管疾患や心疾患、腎臓病などになってしまう場合もあります。
特に、腎臓は、余分な塩分を排出する大切な役割を担っていますが、40代前半をピークに小さくなる(萎縮する)ことが報告されており、より一層の注意が必要です。
加えて、塩蔵食品を毎日のように食べている人は、食べていない人にくらべて胃がんのリスクが高くなることが研究で明らかになっています。
塩分(ナトリウム)は体に必要不可欠な栄養素ですが、取りすぎには注意しましょう。
特定健診・人間ドックで推定摂取塩分量を導入しているところも
近年では、特定健診や人間ドックにて、尿検査を用いて1日塩分摂取量検査を実施しているところもあります。
この検査では、1日にどれくらい塩分をとっているかを知ることができます。
このような検査を用いて、自分がどれくらいの塩分をとっているのかを知り、食事習慣を見直してみてはどうでしょうか?
<参考>
・ 特定非営利法人日本高血圧学会「減塩委員会」
・ 厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」
・ 厚生労働省「平成30年「国民健康・栄養調査」の結果」
・ British Journal of Cancer「Salt and salted food intake and subsequent risk of gastric cancer among middle-aged Japanese men and women」(2004年)