今年も花粉症のシーズンがやってきました。
毎年この時期になると憂鬱な方も多いのではないでしょうか。
去年までは大丈夫だったのに急に発症した方もいると思います。
近年では毎年のように「去年の○倍の飛散量」と耳にするようになり、一体どれほどの花粉が飛んでいるのだろうと恐ろしくなってしまいますね。
今や日本の国民病といっても良いくらいの花粉症ですが、どうしてこれほどまでに増えているのでしょうか。
花粉症は60年前から
日本における花粉症の約70%がスギ花粉によるものですが、スギ以外にもヒノキやイネ科、キク科の植物など一年を通して花粉症を引き起こす植物があり、日本では約60種類の植物が花粉症を引き起こすとされています。
1961年に初めてブタクサ花粉症が、1963年にスギ花粉症が報告され、それ以降、患者数は増加の一途を辿っています。
年々花粉症が増えている原因として、飛散するスギ花粉の量自体がどんどん増加していることが挙げられます。
人の手によって増えた花粉症
日本では、戦争中には軍事用に、戦後は復興用に木材の需要が高まり、一時的に木材が不足してしまいました。
そこで不足した木材を補おうとスギやヒノキの植樹が行われるようになったのです。
スギが花粉を飛散するようになるまでには30年ほどかかりますが、戦後に植樹したスギやヒノキが、年月を経て近年大量の花粉を飛散するようになりました。
本来、花粉は飛散したあと土の上に落下して吸収されますが、コンクリートの多い都市部では、落ちた花粉は吸収されずに再度舞い上がるため、空中に浮遊している花粉の量が多いといわれています。
少しでも軽くするために
現在、毎年のように新しい花粉症の薬が出てきています。
一昔前には、花粉症の薬(抗アレルギー薬)を飲むと眠くて日中何も手につかないこともありましたが、現在は「服用回数が少ない、眠くなりにくい、長く効く」薬が主流となっています。
花粉の飛散がピークになってから内服するのではなく、少し早めの時期から内服し始めることがポイントです。
また、目や鼻の症状が強い場合には、点眼薬や点鼻薬を併用することで、辛い症状を抑えることができます。
それ以外にも「舌下免疫療法」といって、アレルゲン(=スギ花粉)を毎日少しずつ舌の裏から吸収させ、スギ花粉に反応しにくい体質へと変えていく治療方法もあります。
これは薬で症状を抑えるのではなく、体質自体を変えられるというメリットがありますが、2年ほどの期間がかかることと、スギ花粉が飛び始める前に治療を開始しなくてはならないため(11月頃までにスタートする)、即効性のあるものではありません。
最後に一番大事なことは、なるべく花粉を体に取り入れないことなのです。
国全体では無花粉スギ普及の取り組みや、森林の適切な管理などが求められています。
個人でできることは、
・マスクやメガネの着用により花粉から体を守る
・外出後はうがい手洗いで花粉を取り除く
・花粉の時期は洗濯物を外に干さない
・部屋を加湿する
・室内はこまめに掃除して外から入った花粉を取り除く
などが挙げられます。
症状をゼロにするのがなかなか難しいのが現状ですが、せっかく春を感じられるこの時期を少しでも快適に過ごしたいものです。