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月曜日の朝は死にやすい? 働く人の命を奪うブルーマンデー
- 2018/12/17
- メンタルヘルス, ワークライフバランス, 働き方改革
月曜日の朝が憂鬱だという方、いらっしゃいませんか。
なんとなく体調がすぐれない、気分が落ち込む、仕事へ行くのが億劫だ、という方も多いと思います。
こういった心身の不調は「ブルーマンデー」とよばれ、実際に月曜日の朝は心血管事故や中高年男性の自殺が多いと報告されています。
今日は月曜日の朝の不調について学び、上手に付き合う工夫について考えましょう。
月曜日の朝に亡くなってしまう人が多い?
衝撃的なことに、月曜日の朝に亡くなってしまう人がとても多いのです。
どういった理由で亡くなってしまうのでしょうか。
1. 心血管事故
心筋梗塞や脳卒中などの心血管事故の発生は、月曜日の午前が最も多いというデータがあります。
原因はこれまで不明だったのですが、旭労災病院の研究により、働く人は月曜日の午前に「ダブル・プロダクト」とよばれる数値が上昇することが明らかになりました。
ダブル・プロダクトは「収縮期血圧×脈拍数」で求められ、心臓の仕事量や酸素消費量を示し、上昇すると心血管事故が起きるリスクが高まります。
この数値ですが、月曜日の朝に上昇するのは65歳未満の働く人だけで、高齢者や入院患者などの働いていない人は月曜日の朝だからといって上昇することはなかったようです。
皆さんもご存知のとおり、心血管疾患は突然死をもたらす危険な疾患です。
働く人にとって月曜日の朝が非常に危険であるということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
2. 自殺
皆さん、自殺が多く発生する時期や時間帯があることをご存知ですか。
厚生労働省の自殺死亡統計によると、自殺発生件数は曜日別で月曜日が最多です。
また早稲田大学と大阪大学の研究グループが、後期の中高年男性(40~65歳)の自殺は月曜日の朝に最も多く発生しているということを明らかにしました。
20~39歳の若い男性も月曜日朝に自殺が多い傾向にあります。
いずれも働き盛りの世代ですね。
一方で女性や、66歳以上の高齢者にこのような傾向はありません。
これは心血管事故と同様に、働く人にとって月曜日の朝が精神的に追い詰められやすく危険であるということを示しているのではないでしょうか。
ブルーマンデーから自分の身を守るために……
プレッシャーのかかる予定は週の後半に
月曜日の朝が危険であるとはいえ、仕事を休むわけにはいきませんよね。
そこでできるだけスケジュールを工夫してみましょう。
たとえば大事な仕事や会議、プレゼンなど、心身にプレッシャーのかかる予定はできるだけ週の後半に入れるようにするのがおすすめです。
可能であれば締切や納期なども月曜日よりは金曜日に設定するとよいでしょう。
また金曜日のうちに月曜日の業務を整理しておくことも大切です。
月曜日の朝、リラックスした気持ちで出社し、無理なく少しずつ仕事が始められるスケジュール作りを心がけてみてください。
月曜日に楽しみを作る
身体だけでなく精神的にも追い詰められやすいとされている月曜日にあえて楽しみを作っておくことがおすすめです。
朝お気に入りのコーヒーを飲む、昼食に好きなものを食べる、早めに仕事を終わらせて家族や友人と過ごす日にする、どんなことでも構いません。
月曜日を心穏やかに過ごし、「もう死んでしまいたい」と思う衝動から自分を守るための、自分なりの楽しみを作ってみましょう。
ブルーマンデーから社員を守るために……
スローマンデーの導入
月曜日の朝と心血管事故との関連性について研究をおこなった旭労災病院の木村病院長は、月曜日の始業時間を遅らせる「スローマンデー」を提唱しています。
月曜日の午前を休みにすることで、心血管事故発生のリスクは確実に減りますし、自殺を考えている人が思いとどまる時間にもなるのではないでしょうか。
従業員の命を守るという観点からみると「プレミアムフライデー」よりも「スローマンデー」を取り入れていただきたいです。
実際に株式会社オウケイウェイヴ(東京都渋谷区)では従業員のストレスの低減と生産性向上のため、2018年10月より月曜午前を原則休みとすることとし、早くも多くのメディアから注目を集めています。
※
心血管事故も自殺も、状況によっては会社の責任を問われかねない問題であり、従業員の命のみならず莫大な損失を生み出す危険性があります。
また月曜日の朝は従業員の生産性も上がりきっていないことが多く、朝ゆっくりとスタートして午後から集中して仕事に取り組んでもらう方がかえって生産性が良くなるということも充分に考えられます。
働き方改革で夜遅くまでの残業時間の見直しに取り組む企業は徐々に増えてきましたが、朝の始業時間にまで気を配っている企業は多くありません。
従業員の突然死や自殺を防ぎ、職場の生産性を向上させるために、残業時間の削減に加えて「スローマンデー」も取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考:「職場高血圧に関する調査研究:労働者健康安全機構29労災病院共同研究(第1報)勤労者では月曜午前にダブルプロダクト(収縮期血圧と心拍数の積)が上昇する(PDF)」(日本職業・災害医学会会誌第65巻第5号)