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病気と仕事の両立を考える② 職場復帰支援に向けたしくみづくり
- 2018/10/17
- ワークライフバランス, 健康管理
前回は「病気と仕事の両立」について、疾病をかかえる労働者の多さや、企業が実際に行っている支援をデータから見ていきました。
今回は、厚生労働省が公表している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(以下、「手引き」)を参考に、会社が実際に休業申請を受ける前に整えるべき仕組みや様式ついて考えてみたいと思います。
休職申請書と情報提供の準備
病気による休職を労働者が申し出た場合、労働者側から診断書と合わせて提出してもらう休職申請書(任意様式)を準備する必要があります。
その際に休職中の連絡先も記入してもらいますが、本人が入院してしまった場合などでも状況がわかるよう、本人とは別にご家族の連絡先も事前に確認しておくとよいでしょう。
また、会社側からは、労働者が安心して治療に専念できるように、さまざまな情報提供を行う必要があります。
以下のような内容を事前に文書化しておくことをおすすめします。
- 傷病手当金などの経済的保障
- 不安・悩みなどの相談先の紹介
- 有給休暇、休業の最長(保障)期間など
- 職場復帰支援のしくみなど
本人だけでなく家族の方も安心できますし、休業期間などは就業規則に定められているかと思いますので確認しましょう。
主治医との連携準備
主治医とは必ず本人の了承を得たうえで、文書でのやりとりを行うことが望ましいです。
文書で情報の提供を依頼する場合、産業保健センターのサイトなどからダウンロードできる「情報提供依頼書」のフォーマットを利用するとよいでしょう。
産業医がいれば、産業医に記入をお願いするとスムーズです。
またその文書には必ず労働者本人の同意欄を設け、署名押印をもらうようにしましょう
「試し出勤」を導入準備
しばらくの休職を経て本人の状況が快復に向かい、そろそろ職場復帰という話が出てきます。その際、正式な職場復帰より前に、「試し出勤」や「リハビリ出勤」のような準備段階を設けている企業も多いかと思います。
試し出勤を行う場合、手引きには以下の3つが例として挙げられています。
① 模擬出勤
職場復帰前に通常の勤務時間と同様な時間帯において、短時間または通常の勤務時間で、デイケア等で模擬的な軽作業やグループミーティング等を行ったり、図書館などで時間を過ごす。② 通勤訓練
職場復帰前に労働者の自宅から職場の近くまで通常の出勤経路で移動を行い、そのまままたは職場付近で一定時間を過ごした後に帰宅する。③ 試し出勤
職場復帰前に職場復帰の判断等を目的として、本来の職場などに試験的に一定期間継続して出勤する。
(引用:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き)
試し出勤などを行う場合、実際に行った場合の処遇(給料)や労災についてどのように取り扱うかを事前に明確にしておくことが大切です。
実際に給料を支払うべきなのか、労災対象にすべきなのかは上記の手引きでも明示されておりませんので、労使間でしっかりと協議しておく必要があります。
もし無給・労災対象ではないとする場合、労働者には十分に説明することはもちろん、のちのちのトラブルを防ぐため、「試し出勤実施申請書ならびに同意書」などの様式を準備し、記入してもらうのもよいでしょう。
まとめ
このように、休職希望者を最初に受け入れるところから職場復帰支援は始まっています。事前に準備しておくことで、十分なフォローができ、スムーズな復帰につながることにもなりますので、今一度見直してみてはいかがでしょうか。
参考:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/101004-1.html