8月に問題になった、各省庁での障害者雇用の水増し問題。
33ある行政機関のうち27機関について、計3,460人もの障害者雇用の水増しが発覚。
雇用した人数として公表していた6,900人のうち、実に半数以上にあたります。
障害者雇用に関して、そもそも企業にはどのような義務があるのでしょうか?
また2018年4月の法改正では、どのような点が変更になったのでしょうか?
おさらいしてみましょう。
障害者雇用促進法とは?
正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」といいます。
障がいを持つ人々の雇用促進や、リハビリテーション等の措置により職業の安定を図るための措置を定めた法律です。
「障害者」の範囲って?
身体障害、知的障害、精神障害者を指します。
なお、発達障害者というだけでは対象に含まれませんが、二次的な精神障害などで認定されて精神障害者保健福祉手帳や療育手帳を持っている場合は対象となります。
詳しくはこちらをご覧ください。
2018年4月1日以降 改正点4つ
① 法定雇用率の引き上げ
現在は以下の通りとなっています。
民間企業:2.2%
国、地方公共団体:2.5%
都道府県等の教育委員会:2.4%
② 平成33年4月以降は、それぞれ更に0.1%引き上げ
なお、法定雇用率は以下のように計算します。
(身体障害、知的障害、精神障害者の合計人数) ÷ 常用労働者数
雇用義務を果たさない事業主に対しては、ハローワークから行政指導が行われ、かつ目標を達成できないと1人につき5万円の納付が必要(※国や地方公共団体には罰則なし)であるため注意が必要です。
③ 対象人数が45.5人以上に
以前は従業員50人以上の事業場が対象でしたが、より多くの事業場が対象に含まれることになりました。
ですので、上記法定雇用率とあわせて計算すると、雇用必要人数は以下となります。(民間企業の場合)
従業員45.5人→障害者1人以上
従業員91人→障害者2人以上
従業員137人→障害者3人以上
従業員182人→障害者4人以上
従業員228人→障害者5人以上
従業員が45.5人を超える事業場に関して、毎年6月1日時点の障碍者雇用状況をハローワークに届け出る義務が発生しますので、ご注意ください!
届出の手順(電子申請、郵送、持参が可能)についてはこちらをご覧ください。
④ 補助金
ハローワークなどの紹介により障害者を雇用した場合、職場としての受け入れ態勢を整えるにあたり各種補助金を申請することが可能です。
高年齢者や身体・知的障害者、重度障碍者等が対象となる特定就職困難者コース、中小企業が初めて障害者を雇用する場合に、法定雇用人数を超えて雇い入れた場合に受給できる障害者初回雇用コースなど、さまざまな制度があります。
初めて障害のある方を雇用するにあたっては、分からないことも多いものです。
まずは、ハローワークや専門機関にまず相談してみるのもいいかもしれませんね。
<参考>
・ 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
・ 「高年齢者・障害者雇用状況報告の提出について」(厚生労働省)
・ 「障害者を雇い入れた場合などの助成」(厚生労働省)