医療機関に所属していない医師にも、「医師届出票」の提出義務があることをご存知でしょうか?
産業医として認定を取得している医師の数は年々増え、現在は8万人前後と言われていますが、そのうち、産業医を専門としてご勤務されている医師もいらっしゃいます。
大学病院や総合病院では、事務の方が取りまとめて提出をして下さるケースも多いそうですが、産業医となると勤務先に医師が1人だけということも珍しくはないので、忘れてしまいがちな制度です。
医師法6条3項
医師法6条3項には以下の定めがおかれています。
医師は、厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における氏名、住所(医業に従事する者については、更にその場所)その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年1月15日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。
つまり「2年に一度、氏名、住所などを厚生労働省に届け出なければならない」とされているのです。
しかし、その認知度は6割程度だとされています。
病院などに勤務している医師については、勤務先に調査票が送付されるようですが、常勤の勤務先がない場合などは、医師本人が最寄りの保健所に調査票を取りにいくか、厚労省のウェブサイトからダウンロードして提出する必要があります。
なぜ2年に一度届け出る必要があるのか
厚生労働省は、「医師、歯科医師及び薬剤師について、性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名(薬剤師を除く。)等による分布を明らかにし、厚生労働行政の基礎資料を得ることを目的」としています。
また、申請が行われることによって厚生労働省の管理する「医師等資格確認検索」システム上で名前の確認ができ、これは、近年問題となっている成りすましなどによるトラブルを防止できる他、企業担当者などが、産業医契約の前などに先生の資格の有無を確認するなどにも使用されています。
報告内容
従来の「氏名」「性別」「生年月日」「住所」「医籍登録番号」「登録年月日」「主たる従事先情報(名称・住所・電話番号)」に加え、「従たる従事先」「就業形態」「休業の取得(育児休業中等)」「医師免許取得の際に医学課程を修めた大学名等」の欄を医師届出票に新たに設けるとともに、「取得している広告可能な医師の専門性に関する資格名」の欄に「麻酔科の標榜資格」(麻酔科標榜医)などが新たに追加されました。
医師等資格確認検索について
申請が行われることによって厚生労働省の管理する「医師等資格確認検索」システム上で名前の確認ができますが、厚生労働省は、検索の留意事項として、以下を挙げています。
この検索システムでは、次のいずれかに該当する医師等は検索できません。
① 医籍(歯科医籍)の氏名に対応しているため、旧姓等の使用により、登録名と使用している氏名が異なる医師等
② 死亡や失踪または免許取消の行政処分により、抹消の手続が済んでいる医師等(死亡や失踪の抹消申請は、手続終了まで一定の時間を要しますので、その間は検索可能となる場合があります)
③ 医師法または歯科医師法による2年に一度の届出を行っていない医師等
④ 昭和26年から昭和47年の間に琉球政府により免許された医師等
医師法33条の2で、申請を怠った者には「五十万円以下の罰金に処する」とあることから、2年に一度の届け出は義務とされています。
日本に住所があり、日本の医籍若しくは歯科医籍に登録しているすべての医師および歯科医師、ならびに薬剤師名簿に登録しているすべての薬剤師の方が対象であり、対象となる方のうち、病気療養中などで現在就労されていない方も届出が必要となります。
平成28年度が前回の申請年度ですので、次回は平成30年度となります。2年毎に申請するのはかなり頻繁にも思えますが、ぜひとも滞りなくお願いしたいものです。