4月に新入社員を受け入れる企業にとっては、配属決めや入社直後の研修準備などが佳境に入ってくる時期だと思われます。
新入社員研修というと、ビジネスマナーや自社の業務に必要な知識、スキルについての講義をメインに企業により多様な内容が実施されていますが、法律上、義務づけられているものもあります。
雇い入れ時の安全衛生教育
労働安全衛生法59条には「安全衛生教育」の定めあります。
労働安全衛生法
(安全衛生教育)
第59条 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
入社時の安全衛生教育は法律で義務づけられているのです。
また、労働安全衛生規則35条には「雇入れ時等の教育」の定めがあります。
(雇入れ時等の教育)
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第2条第3号に掲げる業種の事業場の労働者については、第1号から第4号までの事項についての教育を省略することができる。
雇い入れ時だけでなく、異動や業務転換等により作業の内容が変更された場合も、速やかに教育を行わないといけないとされています。
安全衛生教育の内容
安全委衛生教育の内容は、労働安全衛生規則35条によって定められています。
1 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
2 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
3 作業手順に関すること。
4 作業開始時の点検に関すること。
5 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
6 整理、整頓とん及び清潔の保持に関すること。
7 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
8 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
事務仕事が中心となる業種などについては1~8は省略してもよいこととなっています。
教育時間について法令上の規定はありませんが、事業者は労働者が従事する業務を考慮して十分な安全衛生教育を行うことが必要です。
安全衛生教育の重要性
事前の教育により、防げる事故やケガは少なくありません。
研修の内容については、毎年定型化しているケースが多いと思われますが、企業の安全衛生に世間の注目も高まっている今、あらためて業務の内容や現状をもとに、安全衛生教育の内容を検討されてみてはいかがでしょうか。