産業医業務の中でも重要な仕事のひとつに過重労働面談があります。
わかりやすく言えば「残業(時間外労働)」が多い従業員への面接指導です。
年度末は一年の中でも非常に忙しいイメージがあり、
また、各企業では新卒採用などもはじまり、
毎日残業されている方も多いのではないでしょうか。
今回は働きすぎのリスクについてお伝えします。
そもそも過重労働とは・・・
労使間で定めた時間外労働の範囲を大幅に超える状態のことを指します。
月100時間を超える時間外労働、2~6ヶ月で月80時間を超える時間外労働は
「過重労働」とみなされます。
また、過重労働が原因の疾患(主に脳・心臓疾患)による死亡または自殺を過労死といいます。
長時間の労働による疲労の蓄積は、体調面・精神面に大きく影響し、
特に脳疾患や心臓疾患の発症と関連性が高いといった医学的知見があります。
過重労働と疾患の関連性
①発症前1か月間ないし6か月間にわたって、
1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、
業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、
業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
②発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、
1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、
業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること
ここでいう時間外労働時間数は、1週間当たり40時間を超えて労働した時間数である。
また、休日のない連続勤務が長く続くほど業務と発症との関連性をより強めるものであり、
逆に、休日が十分確保されている場合は、疲労は回復ないし回復傾向を示すものである。
引用:厚生労働省労働基準局の通達(基発第1063号 平成13年12月12日)
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について
従業員が脳・心臓疾患の症状があると診断された場合、
上記を基準にして発症の直前に長時間労働の実態が認められると
「長時間労働との関連性が深い」と判断されるケースが増えてきており、
過重労働との因果関係を認めて、労災と認定される傾向が強まってきています。
会社が多忙な時期であったり、たとえ本人の望んだ残業であっても、
過重労働の対策は、あらゆる企業(事業主)に求められています。
過重労働の発生には十分注意しましょう。