日本人の5人に1人が悩んでいると言われる「不眠症」。
ストレスの多い働く世代にとって、不眠症は、仕事のパフォーマンスにも影響する深刻な問題です。
しかし、よく眠れないという症状は、案外軽視されているのが現実です。
誤った対応で、不眠症が悪化し、うつ病へと進むこともあります。
不眠の症状で悩む人が絶対にやってはいけないこととはなんでしょうか?
不眠症ってどんな病気?
不眠症には、以下の4つの症状があります。
・入眠障害:寝つきが悪い、なかなか眠れない
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう
・早朝覚醒:早朝に目が覚めてしまい、二度寝ができない
・熟眠障害:ぐっすり眠れた感じがせず、翌日に眠気や疲労感が残る
不眠症=寝つきが悪いと思っている人は多いのですが、朝早く目が覚めるなどの症状は、案外気にしていない人も多いものです。
これらの症状が思い当たる人は、これから挙げる3つの方法を覚えておいてください。
「眠れなくても布団に入る」は間違い
不眠の症状を抱える人が最も陥りやすい間違いとは、「眠くなくても布団に入る」という対処法です。
「羊を100匹まで数える」という方法は誰しも耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、眠気がないのに布団に入ることを続けてしまうと、「明日も眠れないのではないか」という不安から、一時的な不眠が長期的なものに変化してしまうおそれがあります。
実際のところ、不眠症の原因の多くが、この「不安」によるものです。
最適な方法は、眠気を感じるまで布団に入らないということです。
布団に入って30分経過しても眠れなければ、一度寝室から出てみましょう。
けれども、テレビやパソコンなどの画面を見ていても眠気は訪れないので、部屋を少し暗くして、ストレッチや音楽を聴くなどリラックスできることに取り組みましょう。
「睡眠薬はやめられなくなる」は間違い
保健師として、不眠を訴える社員の方と面談をする機会がたびたびあります。
その際に、心配される点は、大体以下の2点です。
1.睡眠薬を飲み始めると、ずっと飲まなければいけないのではないか。
2.睡眠薬を飲むと、次の日も起きられなかったり、眠気が続くのではないか。
1についてですが、不眠症治療のために睡眠薬を飲み始めた人の7割が、3ヵ月以内に服用を終了しているというデータがあります。
不眠症の原因には、ストレスなど外的な要因の他に、「また眠れなかったらどうしよう」という強い不安感があります。
睡眠薬を利用して一時的にしっかりと睡眠をとることで、不安感が減少し、不眠を長引かせないという大きなメリットがあります。
2についても、受診当初は作用時間が短い睡眠薬から処方されることが普通ですので、心配は不要です。
心配であれば、休日の前日からスタートするよう医師と相談してみましょう。
不眠症の原因には、睡眠時無呼吸症など、治療が必要な病気が隠れていることも珍しくありません。
自己流で治そうと放置せず、2週間以上も症状が続くようならば、受診を考えてもよいでしょう。
「お酒を飲めば眠れる」は最大の間違い
実は、睡眠薬よりも依存性が高く、危険なのは寝酒です。
日本人は、睡眠薬には心理的な抵抗が強くても、寝酒には抵抗がないことがわかっています。
寝酒をすると、睡眠には入りやすくなりますが、睡眠の質が下がり、次の日も脳・体ともに疲労が取れなくなります。
さらに、寝酒の量は徐々に増えやすく、アルコール依存症の引き金にもなります。
寝酒がないと眠れない人は、要注意です。
不眠が長引くと、体に良くない変化が…
「最近寝つきが悪いけど、日中眠いくらいで体調もそこまで悪くないから、放っておいてもいいか――」
このように、不眠を軽く考えている人も多いのではないでしょうか。
不眠を放置していると、実は体にもさまざまな影響を及ぼします。
日中の眠気だけでなく、血圧を上げたり、糖尿病や肥満を悪化させ、うつ病の原因にもなるのです。
不眠症は無理にベッドに入ろうとせず、症状が2~3週間以上続くようなら寝酒ではなく医師の治療を受けるようにしてください。