改めて問われるバス運転手の健康管理
- 2016/1/26
- ストレスチェック
先日、長野県での大きなバス事故がニュースとなりました。
その中で大きく取り上げられているのが、運営会社の従業員への健康管理の状況です。
健康診断を受けさせていない、重大な法令違反
今回、入社後間もない運転手が事故を起こしたことにより、担当業務の適正さも問題視されていますが、雇い入れ時の健康診断を実施していないことも判明しました。
雇入時健診は、事業者が必ず行わなければならないものとして、労働安全衛生規則43条に明記されています。
条文は下記の通りです。
労働安全衛生規則43条
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四 胸部エックス線検査
五 血圧の測定
六 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)
八 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)
九 血糖検査
十 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
十一 心電図検査
多くの命を預かるバス運転業務。責任を果たすための健康管理を
自動車運送事業は、利用者の生命、財産を預かるとともに、多くの場合大型車を利用するため一旦事故が起こると大惨事になるおそれがあり、その安全確保は極めて需要である。
これは、厚生労働省が発表している「事業用自動車の運転者の健康管理に係るマニュアル」の冒頭文として記載されている内容です。
そこでは続けて、そのような中でも過重労働が多くなる傾向を指摘し、運転手の負担が大きいことを記載。
事業者の健康管理の重要性を説いています。
大きなバス事故が起こるたびに、労働基準監督署からバス協会への要請などが行われていますが、悲しい事故が発生する状況が続いています。
運転手の健康管理を行うことで、「防ぐことができた事故」に関しては、しっかりと事業者が対応を徹底することで、撲滅されることを期待します。