複数事業場が一括でストレスチェックをする場合の注意点はコレ!

2015年12月より、50人以上の事業場に義務付けられたストレスチェック。
各事業場が、今年の11月までに一度実施をしなければなりませんが、新しい制度ということもあり、運用に苦戦している企業も多いのではないでしょうか。
ストレスチェック運用における基本的な考え方は「事業場」単位となりますが、なかには全国に複数の事業場があり、全社一括で実施をしたいという企業も多くみられます。
今回は、本社・支店などの複数事業場が一括でストレスチェックを実施する際の運用方法や注意点について考えてみたいと思います。

全社一括での実施は可能か?

そもそも、本社、支店など、事業場が複数存在する企業において、ストレスチェックを一括で実施することは可能なのでしょうか?
答えは、イエスです。
複数事業場でストレスチェックを一括で実施することは可能であり、その際には全社共通のルールを本社などの統轄のもと全社の会議で審議・決定し、そのルールを各事業場に展開し運用する方法があります。
厚生労働省の「ストレスチェック制度関係 Q&A」においても、下記のように回答がされています。

Q:当社は本社と事業所から成りますが、本社で一括して「事業者」として実施することは可能ですか。その場合、実施方法などについて事業所ごとに衛生委員会等での調査審議が必要でしょうか。
A:労働安全衛生法の他の規定と同様に。ストレスチェック制度の規定も、事業場ごとの適用となりますが、全社共通のルールを、全社の会議体で審議するなどして定め、 それを各事業場に展開するというやり方も可能です。ただし、法令の規定は事業場ごとの適用となりますので、全社共通のルールについても、各事業場の衛生委員会等において確認し、労働者に周知していただくとともに、事業場ごとに実施者や実施事務従事者が異なる、実施時期が異なるなど、全社で共通化できない内容がある場合は、それぞれの事業場ごとに衛生委員会等で調査審議の上、決めていただく必要があります。

高ストレス者との面談は誰が行う?

ストレスチェックを実施し、高ストレス者と判定された従業員から面談の申し出があった場合、通常その事業場産業医が面談を実施することとなりますが、実は、複数事業場でストレスチェックを実施した場合においても、上記と同様の運用となります。
たとえば、本社の産業医が実施者となり全社でストレスチェックを実施し、支店の従業員から面談の申し出があった場合には、企業はその支店の産業医との面談を設定することとなります。
つまり、ストレスチェックの実施者と面談の実施者が異なる運用となるのです。

労働基準監督署への報告は?

ストレスチェック実施後、事業場は労働基準監督署に下記の「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出する義務があります。
こちらについては、事業場ごとに提出する必要がありますので、全社一括でストレスチェックを実施した場合も、各事業場が、その事業場を管轄する労働基準監督署に報告を行う必要があります。
この報告書には、産業医の署名捺印が必要となりますが、捺印についても面談の考え方と同様に、各事業場の産業医が行うものとなります。
全社一括でストレスチェックを実施する際の運用方法について、多少ともご理解いただけたでしょうか?

以下が今回のポイントです。

1.ストレスチェックを複数事業場で一括で実施することは可能
2.ストレスチェック実施者となった産業医と、従業員の面接指導を実施する産業医が異なることは問題ない
3.ストレスチェック実施者となった産業医と、労基署への報告書に署名捺印する産業医が異なることは問題ない

全社一括で実施する場合、事前に全社で審議等を行い足並みを揃えて運用を進めていく必要があり、1事業場での実施よりも時間を要することが見込まれます。
11月までの実施に向け、早めに準備を進めることをお勧めします!

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