早く帰れない職場あるある
唐突ですが皆さんは、どうして残業していますか。
「業務量が多いから」
「繁忙期だから」
など、業務そのものに起因する理由もあると思いますが、なんとなく、帰りづらいから残業している人も少なからずいると思います。
実際、私がかつて所属していた出版社では、営業部門も編集部門も残業が当たり前の環境でした。
本来は17時が終業時刻であり、その時間には社内全体にチャイムが鳴ったのですが、聞こえているのに聞こえていないというか、感覚的には「一区切り」の合図に過ぎず、大体20時頃まではほぼ全員が残っていたものです。
私自身も、それに慣れきってしまっており、20時退勤を「定時退社」、それ以降を「残業」とみなしている節がありました。
もちろん17時を過ぎたら退勤してもまったく問題なかったはずですが、そうはいっても同僚も先輩も上司もみんな残っていたら、よほどのことがない限り、なかなか帰れません。
また、似たような理由で、本来はどのように使おうが自由であるはずの「有給休暇」も、高熱が出て動けない……といったのっぴきならない状況でしか使うことができず、加えて私の体が頑丈にできていたことから、有給休暇にほとんど手をつけないまま過ごしてきました。
これは私の実体験ですが、「わかる~!」と共感する人も多いのではないでしょうか。
根底にあるのは、帰れない“雰囲気”、休めない“雰囲気”です。
遺伝性残業が存在する
ここで株式会社パーソル総合研究所と東京大学中原淳准教授の共同研究「希望の残業学プロジェクト」における調査結果を紹介します。
本調査では、残業発生のメカニズムを検証しており、残業が「集中」「感染」「麻痺」、そして「遺伝」してくことを明らかにしました。
集中:仕事の配分がうまくいかず、優秀な人や管理職に残業が集中する
感染:同調圧力により、帰りにくい雰囲気が蔓延する
麻痺:長時間労働によって「価値・意識・行動の整合性」が失われる
遺伝:上司の若いころの長時間労働の習慣が、下の世代にも受け継がれる
前述の私の実体験は、まさにこの「集中」「感染」「麻痺」のメカニズム通りですし、職場内にそういった雰囲気が蔓延しているのも、先輩社員から代々受け継ぎし「遺伝」だといえますね。
遺伝性残業を根絶やしにするためには
このような“遺伝性残業”をなくすためには、4つのメカニズムのどこかで大ナタを振るい、根絶やしにする必要があるでしょう。
たとえば、仕事の配分を見直す、というのは「集中」を解消するための一つの手立てです。
また、ひところ「シティハンター退勤」というのがWEB上で話題になりました。
これは、終業時刻に、アニメ「シティハンター」のエンディング曲である「Get Wild」や映画「ロッキー」のテーマ曲を流すというものです。
どちらの曲も、戦場(職場)を去って、自由に歩き始める感じがありますよね。
これもまた、遺伝性残業の解消に一役買ってくれそうです。
上司にとっとと帰ってもらおう
遺伝性残業への対処策を上記で2つほど紹介しましたが、もっと効果的に除草剤としての役割を果たしてくれるのは、「上司に早く帰ってもらう」ことだと私は思います。
というのも、遺伝性残業のうち、特に「集中」「感染」「遺伝」には、上司が大きく絡んでいるからです。
集中:“上司”に残業が集中する
感染:“上司”が残っているから帰りにくい
遺伝:“上司”が自分の習慣を後世に伝えている
上司や管理職のなかには、
「役職的に自分が一番上だから、仕事が多いのも当然」
「自分が他の誰よりも残業しているのは当然」
とみなしており、部下に対しては「俺のことは気にせず、早く帰ってほしい」と言う方もいます。
でも、部下の立場としては、「上司が残っているのに、帰るのは、なんか悪い…」と思ってしまうもの。
一方で、逆に上司がさっさと帰ってくれると、「なら、私も帰ろう!」と割とすんなり帰宅できるものです。
「うちの部署、残業時間が減らないな~」と悩みあぐね、その解決策を模索するために残業している上司、管理職の皆さん、まずは皆さんから率先して帰ってみませんか。
案外これが、一番の特効薬かもしれませんよ!