人間関係を形成する上で大切な「自己開示」
- 2018/8/10
- 認知行動療法
こんにちは、産業カウンセラーの田野です。
突然ですが皆さん、職場で働くうえでは「他者とのコミュニケーション」はどうしても必要になりますよね。
コミュニケーション方法として最もポピュラーなものといえば、「会話」です。
また、他者との会話のなかでは、相互に「自分のこと」を話題にすることが多いと思います。
時には自分のことをありのまま正直に話したり、時には、自分のことを少しごまかして話すこともあると思います。
こうした行動について、前者は「自己開示」、後者は「自己呈示」と呼ばれています。
今日はこのコミュニケーションを図る中でもよく出てくる、「自己開示」についてお話ししてみようと思います。
自己開示とは?
自己開示は(self-disclosure)と表記されます。
他者に対して自己に関する本当の情報を、言語的コミュニケーションを主として伝達することを指します。
自己に関する新たな情報、また隠していた情報を他者に知らせることがそれにあたります。
そんな自己開示は主として開示者自身そして、開示相手や二者の関係に対して「望ましい効果」をもたらすといわれています。
また、自己開示の機能は、自分自身に対して望ましい効果をもたらす「個人的機能」、自分と相手の関係について望ましい効果をもたらす「対人的機能」の2つに分類することができます。
メリットをもたらす個人的機能の例
・ 感情浄化機能
人は誰しもが悩みや苦しみなどの気持ちを自分の胸にだけ収めておくと、いつかその重みに耐えられなくなります。
それを他者に聴いてもらうことだけで心が軽くなる、感情浄化(カタルシス)が生じます。
・ 自己明確化機能
人は常に曖昧な態度や意見を持つことがあります。
そんな時に、自分の考えや気持ちを話しているうちに、当初曖昧だった気持ちが整理され、明確になることもあります。
メリットをもたらす対人的機能
人は、信頼できる相手や好意を抱く相手に対して、隠していた自分のことを打ち明けることがあります。
開示者の自己開示は、相手に対して、信頼していることや好意を持っていることを「暗に」伝えます。
そして、このことを伝えられた相手は、開示者のことを肯定的に認知することになり、好意を覚えます。
これが繰り返されることによって、次第に双方での内面的な自己開示の交換が行われるようになり、二者間の関係は発展することにつながります。
時には危険な自己開示も
不適切な自己開示は、上記のような良い機能ばかりではなく、開示者にとっても大きな不利益をもたらすこともあります。
まだ、あまり親しくない相手に掘り下げた自己開示をしたりとタイミングを間違えるだけで失敗になることもあるので不用意に自己開示を行い過ぎることも考えなくてなりません。
皆さんの周りにも、日頃から「自分のことを出し過ぎる人」を見かけることはありませんでしょうか?
そういった方を見ているとこっちが疲れることありますよね…。
うまく日常のコミュニケーションのなかに取り入れることで、相手との関係性を発展させることもできますが、相手やタイミングを間違うと関係性を崩壊させてしまうこともあります。
自分の状況だけを考えるのではなく、相手との関係を客観的に捉え、コミュニケーションに取り入れていくことが大切だと思います。
それでは、次回は「自己呈示」についてのお話もしてみようと思います。