C型肝炎は治せる時代に

 気付かずに肝炎になっていことも

日本には現在、症状のないキャリアの方も含めると、C型慢性肝炎の患者さんが約150〜200万人いると言われています。
20代~30代の若い世代ではほとんど馴染みのない病気ですが、40代後半くらいから感染率が増加し、65歳以上になると約1〜2%の人がC型肝炎ウイルスに感染しています。
約150〜200万人と推定されている患者さんの中で、実際に医療機関で治療を受けているのは50万人。
つまり半数以上の方は、自分自身がC型肝炎ウイルスに感染していることに気づいていない、もしくは気付いているけれど治療を受けていないということになります。
どうしてこんなにたくさんの方が気付かずに過ごしているのでしょうか。
C型肝炎ウイルスに感染した場合、からだのだるさ・発熱・黄疸などの症状が出ますが、人によって症状の出方はさまざまで、ほとんど症状が出なかったり風邪かな?という程度で症状が治まってしまうことがあります。
そのままC型肝炎ウイルスが排除される人もいますが、約70%でウイルスが体にとどまって、体は辛くないけれど感染している状態(=C型慢性肝炎)となります。
このように症状自体は継続しないため、C型肝炎ウイルスにかかったと気付くタイミングを逃すことが多いのです。

インターフェロンから新しい治療へ

C型肝炎治療のハードルが高かったことも、治療から足を遠ざける原因のひとつだと思われます。
以前は「インターフェロン治療」がC型肝炎治療の柱でした。
しかし、C型肝炎ウイルスの中にも種類があり、日本人が主に感染しているウイルスは、インターフェロンが効きにくいタイプのウイルスでした。
さらに、インターフェロン治療は副作用が強く出る方も多く、入院して治療を開始するケースが多かったため、C型慢性肝炎であるとわかっていても治療をせず過ごしている方がいるのです。
ところが、数年前からまったく新しいタイプの薬が続々と開発されて治療で大きな成績を上げています。
インターフェロンを使わず、内服薬だけなので通院しながら治療を受けることができます。
治療終了12週後のウイルス陰性率は95〜99%程度と、非常に奏功率が高く、副作用が少ないことでとても注目されています。
1錠8万円という高額で販売開始されたことや、その高額さゆえに偽造品まで流通するというニュースもあったため、記憶にある方も多いのではないでしょうか。
そんなに高い治療は受けられないと感じるかもしれませんが、都道府県ごとに助成制度があるため、およそ月2万円で治療が受けられるようになっています。

いつか肝炎のない世界に

日本での肝炎患者数は150〜200万人ですが、全世界での患者数は約1億7千万人にものぼり、人口の3%と言われています。
C型慢性肝炎は放置すると肝硬変、肝臓がんとどんどん病状が進行してしまいます。
以前インターフェロンをやったけれど治らなかった方や、忙しくて入院する時間が取れなかった方にも、新しい治療があることをぜひ知ってほしいと思います。
また、健康診断の肝臓の項目(GOT/GPT)が高い方は、一度肝炎ウイルスの検査を受けるようにしてはいかがでしょうか。
健康診断のオプションとして肝炎検査を実施しているところも多くあると思いますので、ぜひ確認してみてくださいね。

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田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験をさまざまなかたちで皆さまにお届けします。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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